メスト・エジルの言葉に、アーセン・ヴェンゲルが築いたカルチャーの素晴らしさを想う。

スポーツにおいて、「たら・れば」は「考えても意味のないこと」のようにいわれがちですが、私は、無数の「たら・れば」を愉しむのもファンの醍醐味ではないかと思うのです。「あの試合で、ラシュフォードを止められていれば…」。昨季のプレミアリーグでは、多くのグーナーが2月末からの1週間を悔やんだのではないでしょうか。2016年2月14日、ウェルベックの劇的な決勝ゴールでレスターとの直接対決を制したアーセナルは、勝ち点3差と首位に肉薄したのですが、マンチェスター・ユナイテッド、スウォンジー、ノースロンドンダービーと続いた3つのゲームで1分2敗と崩れ、同じ期間に2勝したレスターに引き離されてしまいました。あの時期、トッテナムと一緒にプレミアリーグ首位にしっかりプレッシャーをかけられてい「れば」、カウンターを警戒されて苦しそうに戦っていたラニエリ監督のチームに、1-0で4連勝という快進撃を許さなかったかもしれません。

私がアーセナルについて夢想する最大の「たら・れば」は、「一昨年のカソルラと昨年のエジル、そして現在のアレクシス・サンチェスが同時にいれば」です。2014-15シーズンに、チームの軸として37試合7ゴールという数字を残していたカソルラが中盤を仕切り、昨季プレミアリーグで19アシストのエジルが前線の選手を操り、シーズン20ゴールに届きそうなアレクシス・サンチェスがゴール前をかき回す…すべてがかみ合えばバイエルン・ミュンヘンにも勝つチームが、プレミアリーグを制しても何の不思議もありません。今季、4位を死守してアレクシス・サンチェスとの契約を延長に持ち込み、ヴェンゲル監督が最後となるかもしれない1年を好調な3人と過ごせたら、アーセナルがどこまでいくのかを観てみたいという気持ちは消えません。裏を返せば、チェルシーとリヴァプールが崩れた2015-16シーズンも、マンチェスター勢が新チームの熟成に時間がかかった今季も、継続性と層の厚さを両方備えていたアーセナルにとってはチャンスだったと思います。カソルラの早期離脱と、エジルをはじめとする主力の年明けからの不振が、とにかく残念です。

さて、契約延長といえば、メスト・エジルがすぐに決めると明言しています。イギリスメディア「スカイスポーツ」が、「Mesut Ozil to hold talks with Arsenal over new contract decision 'soon'(メスト・エジルは、アーセナルとの新しい契約を決めるべく”すぐに”交渉を行う)」と題した記事を掲載。ドイツ紙「ディ・ヴェルト」に応じたプレーメイカーのインタビューを紹介しているのですが、これがいちいち泣かせます。ヴェンゲル監督の去就については、

「アーセン・ヴェンゲルが、僕に直接話す前にジャーナリストにいうと思う?彼はそんな人間じゃないとわかってるよ」

…部下にこんなことをいわれてみたい、とうらやましがる上司が多いのではないでしょうか。最近のヴェンゲル監督の去就を巡る報道に動揺している選手もいるのかもしれませんが、エジルにはボスに対する揺るぎない信頼があります。2018年までロンドンでの契約が残っており、快適に過ごしていると語るドイツ代表MFは、すぐにでも交渉を始めて今後について決めるといっています。今季プレミアリーグでは、22試合5ゴール4アシストと満足な結果を残せていないものの、エジルはアーセナルにおける未来への希望を失っていません。

「僕の夢はチャンピオンズリーグで勝つことだけど、アーセナルでできないとなぜいえる?もちろん、今は難しい時間を過ごしているのは確かで、6位というポジションには満足していない。でも、すぐに追いつけると信じてる。どうなるか見てみよう」

彼の言葉に触れると、アーセン・ヴェンゲルとメスト・エジルの美しい旅を、もう1年だけでも追いかけたいという気分にさせられます。グーナーのみなさんは、幸せなのではないでしょうか。最近は、プレミアリーグを制覇したクラブがことごとく次のシーズンで崩れ、メディアに監督と選手の確執を煽られていますが、苦境に追い込まれてもアーセナルにはそんな空気は感じられません。大物選手に法外な移籍金を払って話題になることもなく、不振の選手を1年も経たないうちに放り出すようなドライなジャッジもなく、自らのポリシーを守りながら常時プレミアリーグの優勝候補でい続けるからこそ、選手はクラブを愛し、みなさんもまたガナーズを愛しているのではないかと思います。

私が長年応援しているマンチェスター・ユナイテッドは、サー・アレックス・ファーガソンという稀有なマネージャーの哲学の下、ヴェンゲル監督とテイストこそ違えど一貫性のあるクラブ運営で強者であり続けたところまでは同じです。ところが、ボスが勇退した後は、それまで築いてきたスタイルやプライドをずいぶん捨ててしまいました。納得しているかといわれれば、仕方がないとしか返せません。そうしないと勝てなくなってしまったのがわかるからです。今季は、われわれのほうが上で終わるかもしれません。しかしそれでも、アーセナルが今のスタイルを貫く限りは、リスペクトの気持ちが目減りすることはありません。クロップ監督の華やかなサッカーや、コンテ監督が持ち込んだ新しい戦術に胸をときめかせつつ、それらとは別な次元で、ノースロンドンに築かれたカルチャーに心を奪われます。この素晴らしいクラブが、負傷者に苦しむことなくプレミアリーグを戦えたら…。エジル、アレクシス・サンチェス、カソルラがシーズンを通じて本領を発揮すれば…。


おもしろいと思っていただけた方は、お時間あれば、下のブログランキングバナーをクリックしていただけると大変うれしいです。所要時間は5秒です。何とぞよろしくお願いいたします!

<スポンサーリンク>


本ブログも参加中のサッカーブログランキングで、最新のサッカー情報をチェックできます。
よろしければ下のバナーのクリックをお願いします!励みになります!
サッカー ブログランキングへ
にほんブログ村 サッカーブログへ にほんブログ村
スポーツ人気ブログランキング スポーツ人気ブログランキング

この記事にコメントする

お名前
タイトル
メール
URL
コメント
絵文字
Vodafone絵文字 i-mode絵文字 Ezweb絵文字
パスワード

無題

借金さえ返済すれば・・・
怪我人さえでなければ・・・
主力さえ残っていれば・・・

損切りできず、損失が青天井になってしまう人たちの考え方だと思います。
変化の時だと思います。
  • プレミアリーグ大好き!
  • 2017/03/28(Tue)07:10:38
  • 編集

無題

※1さん
若干ピント外れでは
ファンの楽しみ方の話ですよ
  • プレミアリーグ大好き!
  • 2017/03/28(Tue)08:06:35
  • 編集

コメントありがとうございます。

プレミアリーグ大好き!さん>
新しい発見でした。監督交代すべきではないかとおっしゃるアーセナルサポーターの多くは、「チャンピオンズリーグ出場権を毎年獲得し、最近FAカップ連覇をもたらしたという功績はあるが、さらなる発展のためにチャレンジを」というニュアンスだとばかり思っていました。ヴェンゲル監督を「損切り」と切り捨ててしまい、「監督交代=優勝できる=得」とあっさりいいきるのは、あれだけ実績があるモウリーニョ監督でも優勝できないかもしれないぐらいにプレミアリーグは厳しくなっていると考えていた私にはない発想でした。新鮮なご意見、ありがとうございました。

プレミアリーグ大好き!さん>
趣旨ご理解いただき、ありがとうございます。居酒屋でプレミアリーグファン同士で集まり、「たら・ればオッケー」で語り合うのも、ときには楽しいです。
  • makoto
  • 2017/03/28(Tue)09:29:07
  • 編集

無題

更新お疲れ様です。
たられば考えるの楽しいですよね。確かにその3人が完調でフルシーズン戦えたら脅威ですね。間違いなくバイエルンとも渡り合えると思います。
自分もシャビアロンソが移籍しなければ…とか、スアレスが残っていれば…とか考えちゃいますね笑。最大のたらればはジェラードがスリップしなければ…ですが、以前ジェラードのインタビューでジェラード自身もスリップしなければ…と考えない日はないと語っていて涙が出てきました。
  • レッズ
  • 2017/03/28(Tue)14:26:29
  • 編集

無題

ヴェンゲル切る機会損失の方が「まだ」大きいでしょう。ただそもそも本人が手応えを感じておらず、モチベーションを保てないのであればこの後には何も残らないかもしれませんね…
  • グッチ
  • 2017/03/28(Tue)16:11:15
  • 編集

無題

勝っても負けてもいいんじゃない?良くも悪くもとにかく変化が欲しいサポーターもいるんでしょう。正直あのレベルの安定と実績、何よりその哲学と文化、そして継続性には他サポながら憧れます。しかし、いい加減何らかの変化が欲しい気持ちも分かる第三者の単純な感想でした
  • B
  • 2017/03/28(Tue)17:39:14
  • 編集

無題

酒を飲みながらのたらればトーク楽しいですね。
熟成されたコシ&ムスのCBコンビ
セットプレーは攻守にジルー
エジル&ジルーのホットライン復活
ジルーの周りでサンチェス・エジル・チェンバレンの衛星トリオ
サンチェスは25点で得点王
エジルのアシスト王&二けた得点
ウイングでゲームメイクという新機軸を開くラムジー
ジャカのロングパス一発でシーズン10アシスト
獰猛なるボールハンター「コクラン」の究極覚醒
怪我のない中盤
カソルラ・ジャック・エジルの華麗なるパスワーク

4つ5つ同時に実現してくれれば・・・

毎年、たらればで疲れてしまい変化を求める気持ちも分かります。
私も時々、心が折れますから(>_<)

悪いたらればは、念願かないベンゲル監督を招き入れたパリSGのCL優勝でしょうか。
  • だしまる
  • 2017/03/28(Tue)19:24:33
  • 編集

無題

エジルの飄々としたプレースタイルと真逆の男らしい発言に心打たれました。

心の中ではヴェンゲルと現有戦力では優勝の可能性は低いんじゃないか....とは思ってますが、makotoさんの言う通りたらればが噛み合えば可能性はあります。

ヴェンゲルが辞めるというまで、最後の一花なんとか咲かせれるように、夢見て応援するだけです。
  • ガナユ
  • 2017/03/29(Wed)02:18:46
  • 編集

コメントありがとうございます。

レッズさん>
ジェラードのスリップは、記事に入れようかどうか迷ったぐらいで、いつも「たられば」してしまいます。あの年のレッズ、SAS+ジェラード、好きだったんですよね…。

グッチさん>
いい後継者を指名できるかどうかですよね。そもそも「ヴェンゲルさんがやってると機械損失」というのはどうも…。他がヴェンゲルさんよりいいという前提があるわけではありませんので。

Bさん>
変化をほしがるサポーター「も」というレベルでなく、それなりの人数がいますので、「勝っても負けてもいいから変化がほしい」ということではなく、「とにかく勝ってくれ」なのでしょう。ヴェンゲルさんが圧倒的な強さでプレミアリーグを勝ったら、プラカードはリスペクトの大合唱に変わると思います。

ガナユさん>
エジル、いいですよね。アーセナルは、強いときは優勝チームよりいいサッカーしますので、負傷者対応も含めてシーズンを通じて力を出せるようになれれば、ですね。

だしまるさん>
全部実現したら(パリSG以外)とてつもないスペクタクルですね!楽しいです。

  • makoto
  • 2017/04/01(Sat)11:29:35
  • 編集

あなたは?番め



人気ブログランキング参加中です。
こちらから応援クリックお願いします!
やる気がぐんぐん上がります!
にほんブログ村 サッカーブログへ にほんブログ村
サッカー ブログランキングへ
スポーツ人気ブログランキング スポーツ人気ブログランキング

いいね!、ブックマーク、シェアはこちらから!

本ブログのFBページに「いいね!」して更新情報や限定お得情報を入手! ⇒Facobookページへ

スポンサーリンク

CHECK IT!

ファーガソンの薫陶 勝利をもぎ取るための名将の心がまえ

新品価格
¥1,365から
(2013/3/9 17:28時点)

アーセン・ベンゲル 勝利の哲学 [DVD]

新品価格
¥1,707から
(2013/3/9 17:28時点)


アレックス・ファーガソン 伝説を創った指導力

新品価格
¥1,575から
(2013/6/29 22:49時点)

カテゴリー

現地サッカー観戦お役立ち情報

激安ホテル&航空券はこちらでGET!

お得な航空券一括比較『スカイスキャナー』

155,000軒から選べるHotels.com

最低価格保証!世界最大級ホテル検索サイト「エクスペディア」

業界最速で最安値検索!海外格安航空券の検索ならskyticket.jp
直前予約OK!海外格安航空券のエアータウン

ブログ内検索


Google検索

プレミアリーグ関連グッズをGET!

ユニフォームや応援グッズを扱う
サッカー専門ショップをご紹介!

人気クラブのユニフォームならユニオンスポーツ

⇒在庫10,000点以上!レアもの充実のメガストア
 「フットボールMAX」

アーカイブ

プロフィール

HN:
makoto
性別:
男性
職業:
ものづくり
趣味:
サッカー観戦
自己紹介:
プレミアリーグがとりわけ好きなのは間違いありませんが、チャンピオンシップ、セリエA、ブンデスリーガ、リーガエスパニョーラ、チャンピオンズリーグ、ヨーロッパリーグはもちろん、Jリーグ、なでしこリーグ、高校サッカーまで何でも観ます。今季のプレミアリーグで、特に活躍を期待している選手は、ダヴィド・デ・ヘア、マーカス・ラシュフォード、メスト・エジル、モー・サラー、エリクセン、ムヒタリアン、岡崎慎司、吉田麻也です。

にほんブログ村新着記事

こちらのランキングもチェック!

忍者アナライズ