前半は鮮やかな2ゴール、後半はハワード・ショー!美しいエヴァートンがEL圧勝スタート!

「これはエキサイティングだ。ヨーロッパリーグは素晴らしい大会。自分たちの力を試す場として重要になると思う。今大会の抽選で、(リールとヴォルフスブルグという)素晴らしい2チームと同じ組となり、サプライズのありそうなクラスノダルとも当たることになった。これは大きなチャレンジであり、私たちがエヴァートンに求めていたものでもある」。ロベルト・マルティネス監督はヨーロッパリーグ開幕に向けて、期待と警戒を込めてこう語っておりましたが、昨季プレミアリーグ5位のエヴァートンは、トッテナムに負けず劣らずやっかいな組に入りました。

今季は2分け1敗と出遅れ気味とはいえ、プレミアリーグで活躍していたベントナーとデブライネ、ワールドカップに出場していたオリッチやルイス・グスタフォが揃うヴォルフスブルクは要注意。夏にリヴァプールが獲得したベルギー代表オリギが好調なリールは、リーグ・アンの首位です。クラスノダルはアウトサイダーですが、2013-14シーズンのロシアカップで準優勝しており、ロシアへの長距離遠征はできれば避けたかったところ。本拠地グディソン・パークで戦う第1戦のヴォルフスブルク戦で勝ち点を落とせば、グループリーグ勝ち抜けは一気に厳しくなります。

試合は、開始直後からスピーディーな攻め合い。エヴァートンでは、左サイドに流れたりドリブルを仕掛けたりして相手DFラインを揺さぶるルカクが効果的です。14分、さっそく先制したのはホームのエヴァートン。ベインズとマッカーシーがワンツーで左サイドを切り崩すと、GKの目の前まで抜けたベインズがすぐ横にいたネイスミスにラストパス。ネイスミスは、DFに当てながらもこれを押し込み(記録はオウンゴール)、5シーズンぶりのヨーロッパリーグは幸先のいいスタートです。

ヴォルフスブルクは、前半は形が創れず、遠めからのシュートや放り込みでしか活路が見出せません。17分のルイス・グスタフォのミドル、19分にロングクロスをもらったカリギュリがシュート、27分にはアーノルドからオリッチへと合わせますが、いずれもGKハワードを慌てさせることはできません。

エヴァートンがよかったのは、ルカクとネイスミスがポジションチェンジを繰り返し、彼らに当てて戻ってきたボールを中盤やDFの選手がもらって突破するという攻撃の形が明確だったところです。32分にベインズからのパスをルカクがダイレクトでさばき、抜け出したネイスミスがDFにぎりぎりでカットされるという彼ららしいきれいな攻撃を見せていたエヴァートンは、前半終了間際という最高の時間に追加点を奪います。47分、左サイドのミララスが強引に中に割り込んで放ったシュートはGKがセーブ。こぼれ球を拾ったベインズが中につなぐと、右SBコールマンがヘッドで押し込んで2-0。ホームチームにとっては、願ってもない展開です。

ヴォルフスブルクにはこれだけでも激痛でしたが、後半開始直後、彼らはDFラインのパスミスから3点めを喰らいます。ペナルティエリア手前で流れてきたボールをインターセプトしたマクギーディが倒されたのは、映像で見れば明らかに外でしたが、ジャッジはPK。レイトン・ベインズがこれを容赦なく右隅に蹴り込んで3-0。多くの場合は、ゲームはこれで決まりでしょう。

しかし、ヴォルフスブルクは、最後まであきらめないドイツのクラブでした。ここから彼らは、まだそんな力が残っていたのかというような猛攻を見せます。並みのチーム相手なら、この後の30分で、3-3に追いついていたでしょう。ところが、エヴァートンにはこの男がいました。ワールドカップブラジル大会で1試合16セーブという大会記録を打ち立てた、アメリカ代表GKティム・ハワード

49分、カリギュリの落としからリカルド・ロドリゲスが速いグラウンダーを入れますが、ハワードが身を挺してブロック。カリギュリの角度のないところからのシュートはハワードがセーブし、弾いたところを狙ったルイス・グスタフォの一撃も、ハワードがキャッチ。ロドリゲスが右から打った見事な直接FKは、ハワードが横っ飛び。66分のアーノルドのミドルもハワードがセーブ。74分にデブライネが丁寧にコースを狙った右足シュートはハワードが指先でコースを変えてCK。77分に左から抜け出したオリッチも、ハワードがコースをつぶしてシュートはゴール左に外れます。手元のメモだけでも7発、ポジションもセーブもすべて完璧!

素晴らしいハワード、素晴らしいヴォルフスブルク!しかし、エヴァートンの他の10人も負けていません。これだけ攻められているのに、チェルシーのようにペースダウンをしようとするのはGKハワードただひとり。エヴァートンのフィールドプレイヤーは、マイボールになると、果敢に4点めを狙いにいきます。守備要員として入ったギブソンが最前線まで飛び出すエヴァートン。攻められても攻められても、ハーフライン手前までラインを上げるエヴァートン。左から味方がドリブルで駆け上がると、途中出場のエトーが全力で逆サイドをフォローするエヴァートン。すべては自分たちのめざすサッカーのために。美しすぎます!

彼らの努力が実ったのは、88分でした。エトーのスルーパスからDFの裏をとったのは、ケヴィン・ミララス。文句なしのシュートがゴール左隅に吸い込まれ、4-0。試合がここで終われば、自軍のゴールラッシュとハワードの完封が観られたグディソンパークのサポーターは、大満足だったでしょう。しかし、この美しいストーリーには何ともいえないオチがついてしまいました。追加タイム4分、リカルド・ロドリゲスがこの日3本めの右からの直接FK。壁を越えてきれいな放物線を描いたシュートは、右ポストにあたってゴールイン。ハワード1歩も動けず、サポーターひと言も発せず。雰囲気がビミョーで、思わず笑ってしまいましたが、ここでゲームはタイムアップ。結果は4-1、エヴァートン、圧勝です。

最高におもしろい試合でしたが、ベストメンバーで目いっぱい戦ったエヴァートンは、週末のプレミアリーグ、クリスタル・パレス戦は大丈夫なのでしょうか。遠征だったトッテナムと違って、2戦続けてリヴァプールで戦えるとはいえ、中2日でどのくらいコンディションが戻るのかが気になります。メンバーを総入れ替えして引き分けたトッテナムと、ガチンコで勝利したエヴァートン。極端な2チームを観たヨーロッパリーグの緒戦でしたが、このコントラストが週末のプレミアリーグではどう変化するのか、今から楽しみです。


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