足りなかったのは強いメンタルとリーダーシップ…アーゼナルとトッテナムの敗因を考える。

昨日、「ヨコハマフットボール映画祭」に足を運び、素晴らしい作品を見てきました。「キーンとヴィエラ:最高のライバル」。マンチェスター・ユナイテッドがトレブルを達成し、インヴィンシブルズが無敗優勝を成し遂げた激闘の時代に、キャプテンとしてそれぞれのチームを牽引したロイ・キーンとパトリック・ヴィエラが当時を回想する1時間強の映画です。明るくて聡明なヴィエラと、強靭ながら屈折した心を持つキーンの掛け合いはエキサイティングで、10年以上前のヴィエラのラフプレーをキーンが咎めるやりとりと、「マンチェスター・ユナイテッドとアーセナルの混合ベストチームを創ろう!」と2人がやり合うラストシーンが最高です。「ヤツは飛行機に乗れないじゃないか!遠征はどうする」「左SBは契約で揉めないデニス・アーウィンだろ?」(誰のことを議論しているか、わかる方もいるのでは?)と、キーンがツッコミまくってマン・ユナイテッドの選手を押し込もうとするクダリはとにかく爆笑。両クラブのサポーターのみならず、プレミアリーグファンなら熱くなるシーンばかりなのではないでしょうか。機会があれば、ぜひご覧になっていただければと思います。

この映画を見て、私にとっていちばんの収穫は、「あの頃のプレミアリーグは凄まじいぶつかり合いで、今とはまったく違うバトルだった」と気づかされたことです。毎年、毎月、毎週ゲームを観ていると、昔と同じプレミアリーグとしか思わないのですが、当時の試合映像にいきなりタイムスリップさせられると、競り合いにおける当たりの強さ、タックルの迫力は別世界。いや、これは…。いい悪いは置いといて、ジャカなどかわいいものです。プレミアリーグ勢が欧州を席巻していたわけだと呆然と見入ってしまいます。スペインやフランスのチームは、これだけガチガチ当たられて嫌だったでしょうね。近年、サッカーの母国が欧州のステージで停滞しているのは、戦術的理由や代表チームの弱さばかりが理由ではないと、あらためて感じた次第です。

さて、その欧州です。チャンピオンズリーグのアーセナルは、5-1でバイエルン・ミュンヘンに惨敗。トッテナムは鋭いサイドからの崩しが影を潜め、外からのミドルばかりでベルギーのヘントにノーゴールの敗戦。唯一、マンチェスター・ユナイテッドのみが3-0で快勝して、次のラウンドへのチケットが見えるところに立ちました。勝因・敗因それそれあれど、3試合に共通して思ったのは、「プレミアリーグ勢は、総じてメンタルの状態とコンディションが悪そう」「リーダーシップがないチームは、ぎりぎりの状況で踏ん張りきれない」ということです。

ボールを奪われた後、相手の背中を追わないエジルや裏を取られる失敗を繰り返すガブリエウのチームと、ミスが目立った前半のウイークポイントを選手交代で修正し、リーダー・ズラタンが3発決めて勝ちきったチーム。アーセナルは、直近のプレミアリーグ3試合を1勝2敗、チェルシー戦で惨敗、前節のハル・シティ戦の勝利にファインゴールなしと停滞しており、ミュンヘンでは主力メンバーが頭が働いていない印象を受けました。一方のマンチェスター・ユナイテッドは、プレミアリーグ16戦連続負けなし、精神的に摩耗する上位対決は1ヵ月なし、直近3戦は2勝1分で無失点。意図的なターンオーバーで選手をリフレッシュさせており、マタ、マルシアル、バレンシア、エレーラは見るからに好調です。アーセナルと同じく敗れたトッテナムは1勝1分1敗で、この間のゴールはわずか1。疲れが感じられる前線の選手に戦術徹底度や相手の裏をかく余裕は見られず、欧州の大会ではアウトサイダーになることが多いベルギーリーグのクラブ(しかも5位)のヘントに、押されるシーンが目立ちました。

来週、レスターとマン・シティが登場しますが、ここまでの3チームは青、黄、赤とすべて揃いました。ノースロンドン勢の勝ち抜けの可能性は、どのくらいあるのでしょうか。過去、欧州の大会において4点差をひっくり返したのは3例です。1961シーズンに、初戦のアウェイで2-6で敗れたポルトガルのレイショエスが、スイスのラ・ショード・フォンに4-0。1984-85シーズンのUEFAカップ(現ヨーロッパリーグ)では、パルチザンがQPRに2-6の後、4-0リベンジを決めています。その翌シーズン、ボルシアMGに1-5からの4-0を達成したのはレアル・マドリード。いずれも「初戦が敵地」「アウェイゴールを決めている」「2戦めは4-0」で、前例から考えればアーセナルはわずかながらチャンスあり、4-0でパリに負けたバルサはアウトです。

実力差、チーム状態を考えれば4度めの奇跡はなさそうですが、試合開始からラッシュをかけて2点ぐらい奪えば、エミレーツの空気が両チームの選手に魔法を施すかもしれません。こうなる前に、苦しいときにリーダーシップを発揮してチームを動かせる選手がいれば、アーセナルは欧州制覇に近づけるのではないでしょうか。ピッチを歩くエジルと、「前に出てプレスだ!」と身振り手振りで何度も指示していたアレクシス・サンチェスの対照的な姿を見て、ヴィエラのようなキャプテンシーの重要性を痛感しました。7番がクラブと長期契約を結んでくれれば、いずれそんな評価をされる選手になるかもしれません。

トッテナムのほうは、1-0というよくある負け方なので、事情は違います。こちらは過去の事例ではなく、別な数字に着目してみましょう。勝ったヘントは、今季ベルギーリーグのホームゲームで10勝1分1敗。これを上回るのは、首位のクラブ・ブルッヘだけです。一方、アウェイを見ると…1勝6分6敗!勝ち点9は14位に沈むベステルローより少なく、完全なるバーンリー的内弁慶チームです。次戦、ホームで戦うスパーズの前線の選手は、相手を呑んでかかるぐらいがいいでしょう。激痛の先制アウェイゴールにつながりやすいセットプレーとカウンターをしっかりケアすれば、スパーズは次のラウンドに進めると思います。

今季チームに加わってくれたイブラヒモヴィッチについては、類まれなる得点センスもさることながら、素晴らしい求心力をとにかくリスペクトしたくなるのです。本当に、いい人に来ていただきました。欧州で脆さが消えないアーセナルとトッテナムに、ロイ・キーンやパトリック・ヴィエラが現われてくれることを期待しています。既にチーム内にいるのか、外からやってくるのかはわかりませんが。(パトリック・ヴィエラ 写真著作者/Simon Heseltine)


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無題

更新お疲れ様です。アーセナルは芸術に走ると言いますか…150点か赤点かがハッキリしてしまいますね。エジルにサンチェスにムスタフィと良い選手を獲得し始めてなおこれって言うのは悲しいです。
ズラタンはワールドクラスなのは誰もが認めますが、「良い選手」止まりの選手との最大の違いはやはりあらゆる試合でも負けを認めず勝利を当然の物と捉えるメンタリティでしょうか?大舞台で活躍するには不可欠であり、そしてその舞台で仕事ができるからこそワールドクラスなのだとふと考えさせられました。
  • グッチ
  • 2017/02/17(Fri)09:29:47
  • 編集

無題

ヴィエラさん達の現役時代を観ていない世代のグーナーです。ぼくが好きになったアーセナルのキャプテンはセスクだったので、すでにその頃から「熱血キャプテンタイプ」ではありませんでした。
どのようなキャプテンが合うかは時代やチーム状況によって変わるので、決定的な条件はよく分からないのですが、今のアーセナルに「何か欠けている」のは間違いないと思います。
個人的には、チームの象徴たる人間がいないのかなと。
在籍日数の多いウォルコットですが、どうやらチームの象徴たるタイプではありません。
エジルは良くも悪くもアンタッチャブルな天才タイプのようですし、サンチェスは空回りしているようにも見えます。

キャプテンではありませんが、ロシツキーはミスターアーセナルと言えるような人物でした。
こんなとき、誰よりもガナーズスピリットを持ったガラスの天才がいてくれたらと思うのですが、彼は今ボーンマスにいます。

今季を諦めるわけではないのですが、再度、チームの在り方のようなものを考えてくださったらなぁとチームスタッフの方々にはお願いしたい次第なのですが。。。うーーむ。
  • ひろと
  • 2017/02/17(Fri)10:43:46
  • 編集

無題

筆者さんのプレミア好き感が伝わってきて毎回楽しみに見ています 自分もプレミアは好きです
そしてプレミア好きな人はかなりの確率でキャプテンシーなど精神的な部分に着目することが多いと思います笑
語弊がないように言うとそれが悪いのではなくて最大の特徴でありガッチガチの魂のぶつかり合いみたいな試合は脳汁でまくりで大好きです笑
  • もつ
  • 2017/02/17(Fri)11:01:35
  • 編集

いつも楽しい記事、ありがとうございます!

自分もマコトさんのご意見に同感ですね。自分はキャプテンシーと強いメンタリティーに加え、ピッチ内メンバー間の攻守に渡り相乗効果を高めるチームのケミストリーが足りないと思います!実際、今期強豪との試合においてプレーがちぐはぐで、個個人のベクトルがバラバラに向いているように感じます。

自分はNFLの大ファンでもあるのですが、今年スーパーボールを制覇したニューイングランドペイトリオッツは、個々のスターターの身体能力は決して高くありません。が、司令塔トム・ブレディーのキャプテンシーもさることながら、彼がプレーすることで皆が今何をすべきかチーム個々人に伝承させ、当たり前のプレーを当たり前のように出来るチームのケミストリーの高さが制覇の要因だと思いました。つまり、今のガナーズはチームのケミストリーを高めるリーダーが不在なのも不振な要因と考えます。

サンチェスのキャプテンは大賛成ですが、最近ではロシツキーやアルテタのように、このプレーヤーがピッチに入っただけでフットボールのケミストリーが高まり、やるべきことを皆が出来るようになる陰の司令塔不在も大きいのかと思います!

今のメンバーの中でチームのケミストリーを高めるリーダーシップが可能なのは離脱中のカソルラであり、彼を欠いたことがとてつもなく大きいのかなと感じています。彼がピッチに入るだけで遊び心も含め、皆が楽しそうにプレーし、ポジティブな波動が伝わるのかと思っています。ただ、もうネックストカソルラを作る必要はありますし、それが一皮むけて大人になったウィルシャーならグーナーとしては最高なのですが。

いつも楽しい情報ありがとうございました

昔の話はわくわくしますね。
重戦車アーウィン大好きでした。
僕もプレミア好きになったのはその時代です。
カンチェルスキス、プルース、パリスター、ギグスの10台の頃。
懐かしいです。
大学の卒論のテーマを「製品ライクサイクルとSHARPの経営戦略」としたのも、決して偶然ではありません。
0対0でもガチガチの当たりの激しさがあり、本当に面白い試合ばかりでした。
もちろん今の試合も面白いですが、管理人様の感じていらっしゃる事もよくわかります。
25年、四半世紀経っても不変なのもなど何もないと改めて思いました。
  • とん
  • 2017/02/18(Sat)10:15:18
  • 編集

コメントありがとうございます。

グッチさん>
ズラタンは、負けると1日じゅう文句いってるとリンガードが話してました(笑)。おっしゃるとおりだと思います。

ひろとさん>
ロシツキは、選手に慕われてましたからね。いわゆる「闘将」ではなく、アルテタのようなタイプでもいいのですが、精神的支柱になれるような選手がでてきてほしいですね。ボーンマスからのレンタルバックが最高の手段であれば、それでもいいのですが。

もつさん>
当たりの強い名キャプテンが多かったのもあるでしょうね。ポグバの精神的な成長を楽しみにしています。

ヤンガナ大好き!さん>
カソルラのリタイアは大きいと思います。彼がシーズンを通じて活躍するアーセナルを、久々に観たいですね。

とんさん>
ゲーム映像を見て、あらためて凄まじかったのだなと思いました。トレブルの年のFAカップ準決勝、ベルカンプのPKを止めたシュマイケルと、ギグスの60メートル独走は号泣モノです。
  • makoto
  • 2017/02/18(Sat)16:21:51
  • 編集

あなたは?番め



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