【ユーロ2016】お見事ラムジー!戦術なきベルギーが、狙い明確のウェールズに3-1完敗!

ヴェルマーレンの出場停止で、プレミアリーグで堅守を誇ったアルデルヴァイレルトとフェルトンゲンのコンビが観られると期待していたのですが、フェルトンゲンは練習で重傷を負ったようです。ユーロ2016準々決勝、ウェールズと戦うベルギーは、CBにマンチェスター・シティからガラタサライにレンタルされていたデナイエル、左SBはロメウの弟、ジョルダン・ルカク。最終ラインに不安を抱える強豪に対して、主将のアシュリー・ウィリアムズ、司令塔ラムジー、エースのガレス・ベイルが健在のウェールズは、先行逃げ切りの勝ちパターンに持ち込めるでしょうか。私は、この試合を制した国にファイナルに進出してもらえればと願っております。先にベスト4で待つポルトガルは、何しろ90分で1回も勝っていないのですから。プレミアリーグでおなじみの豪華な顔ぶれが揃うブルーのシャツより、チャンピオンシップのメンバーまでいる赤いチームのほうに気持ちが傾いてしまう「レスター現象」に支配されつつ、キックオフの笛。試合開始から圧倒的に押しているのは、やはり強者ベルギーです。

ボールを奪った瞬間にドリブルで持ち上がるデブライネとアザールのスピードが素晴らしく、5分には早くもベン・デイヴィスにイエローカード。スパーズのSBは、累積警告でセミファイナルを失ってしまいました。7分、ベルギーに決定的なチャンスが到来します。左でフリーになったルカクがファーにクロスを通すと、フリーだったカラスコがGKヘネシーの脇を狙うシュート。ヘネシーが身を挺して防いだこぼれ球を、ムニエル、アザールが次々とシュートするも、ゴール前に集まったウェールズ守備陣が必死にブロック。最後はCKに逃げて事なきを得ます。10分にはウェールズの反撃。左から持ち込んだガレズ・ベイルがニアを狙って強烈なシュートを放ちますが、外からサイドネットに吸い込まれてしまいます。

ベルギーが先制したのは、13分という早い時間でした。プレミアリーグでの不振から完全に抜け出したアザールをケアすべく、右サイドの選手が下がり過ぎてしまったのが隙になりました。ナインゴランからゴールまでは相当距離がありましたが、マークする選手はいません。それにしても、ゴール左上に突き刺さったロングシュートはスーパーゴールでした。GKヘネシーは指先で触れるのが精一杯。ウェールズが追いかける展開は、今大会初めてです。

ラムジーとジョー・アレンのプレミアリーグコンビにパスの冴えがなく、リードした後ゲームを落ち着かせたベルギーに対して攻めあぐんでいたウェールズでしたが、25分に見事な連携から決定機を迎えます。ショートパスをつなぎながらペナルティエリアに迫ると、右にまわっていたベイルから縦に走ったラムジーにスルーパス。フリーで折り返したラムジーのグラウンダーはニール・テイラーにぴったりでしたが、満を持して合わせたボレーはクルトワのビッグセーブに阻まれます。30分、押していたウェールズが追いついたのは、ベルギーが28試合失点をしていなかったセットプレーからでした。ラムジーのCKをヘッドで叩いたアシュリー・ウィリアムズは、デナイエルとジョルダン・ルカクの間でノーマークでした。急造DF陣が綻びを見せたとは、いい過ぎでしょうか。1-1となり、ゲームは再び攻めるベルギー、受けるウェールズという構図に戻ります。

32分、ベイルのひとりカウンターは、右足のシュートをクルトワがキャッチ。徐々にベルギーがおとなしくなり、ベイルが中盤で触るようになったウェールズが主導権を握り始めています。42分、ベイルのパスを受けて思い切りよく右足を振り抜いたラムジーのミドルは、デナイエルが体に当ててCK。このCKでもアシュリー・ウイリアムズがフリーでヘディングシュートを打っており、ベルギー守備陣にはマークの確認が必要です。前半はイーブン。次の1点をどちらが獲るのか。ヴィルモッツ監督は、前線からの守備に難があるカラスコをフェライニに代え、危険なベイルとラムジーをケアさせようとしています。

後半開始早々、ムニエルのクロスをフリーで待っていたルカクがヘディングシュート。左隅を狙った一撃は惜しくも外に逸れていきます。直後、デブライネの左足ミドルはバーの上。50分には左サイドのアザールが中に斬り込み、右のポスト脇にきわどいシュートを放ちます。ベルギーペースで進んでいた試合は、55分、最終ラインの裏に飛び出したラムジーの素晴らしいプレイで均衡が破れました。縦パスを受けたアーセナルのMFは、すかさず中のロブソン=カヌにラストパス。マーカーに背を向けてトラップした9番は、切り返しからムニエルとフェライニをごぼう抜きにしてゴール左に完璧なシュートを突き刺しました。ベンチに集まり叫ぶ選手たち、歓喜に沸くスタンド。プレミアリーグのトップクラブで活躍するベルギーの選手たちを尻目に、レディングのストライカーが大きな仕事を成し遂げ、ウェールズの集中力は俄然高まります。

65分のCKは、アシュリー・ウィリアムズがヘッドで競り勝ち、こぼれたところをジョー・アレン、ウィリアムズが次々とボレー。ベルギー守備陣のセットプレーへの対応のまずさは、まだ修正できていません。ゲームを掌握しているのはウェールズで、ベルギーの反撃はデブライネ頼みです。76分、デブライネが右からえぐったチャンスは、グラウンダーが中のルカクに届きません。73分には、SBとしても能力が高いアルデルヴァイレルトがやはり右サイドからオーバーラップ。フェライニのヘディングシュートは、チェスターのプレッシャーでコントロールしきれず右に外れてしまいます。ヴィルモッツ監督は75分にジョルダン・ルカクをメルテンス。その2分後、コールマン監督がレドリーを下げ、アンディ・キングが登場です。レスターのMFは、プレミアリーグとユーロの2冠という究極のミラクルを体験することができるでしょうか。殊勲のロブソン=カヌがサム・ヴォークスと代わり、残り時間は10分を切りました。

ベルギーがルカクをバチュアイに代え、フェライニとの2トップで追いつこうとした矢先の85分、ウェールズがとどめを刺しました。右からクロスを上げたのはガンター。完璧なヘディングシュートを左隅に流し込んだのは、サム・ヴォークスです。ダニー・イングスとの恐怖のコンビで2年前にブレイクしたバーンリーのストライカーは、来季のプレミアリーグでもやっかいな存在となるでしょう。クリス・コールマン監督の采配は大当たり。1度歯車が狂うと修正できないヴィルモッツ監督の限界がみえたゲームでもあったのかもしれません。「英国最強」のウェールズが3-1で逆転勝利を飾り、準決勝進出を決めました。

今日はとにかく「ラムジーの日」。彼の右からの飛び出しと、ハリー・ケインより格段に高いCKの精度が、ビハインドを抱えて追い込まれていたチームを生き返らせました。個人のポテンシャルと創造力まかせの戦術なきサッカーが、「ジョルダン・ルカクの裏、デナイエルとルカクの間を執拗に突く」という狙いが明確だったチームに敗れるべくして敗れたゲームだったと思います。(アシュリー・ウィリアムズ 写真著作者/Biser Todorov)


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歴史的敗戦に揺れるイングランド…ホジソン監督辞任で、次期監督どうする論争がヒートアップ!?

「私はこの夜の結果と、イングランドのユーロ2016敗退に失望している。イングランドはまだまだやれたはずだ。しかし、受け入れがたいことだが、持てる能力に対してチームは成長が足りなかった。あと2年、私はこのチームに留まりたかったが、監督という仕事は結果がすべてだ。私の契約はユーロまでだった。若く才能あふれるチームを、誰かが率いるときが来た。近い将来、メジャーな大会のファイナルで、イングランドが戦う姿が見られると期待している」(ロイ・ホジソン)

来季昇格が決まっているバーンリーのGKヒートンを含むすべての選手がプレミアリーグ所属のイングランドは、自国リーグ登録のプロ選手が100人の小国アイスランドに敗戦。ジャイアントキリング直後の記者会見で、ホジソン監督が辞任を表明しました。2012年のユーロはグループステージを突破したものの、ベスト8でイタリアにPK戦負け。2014年のワールドカップブラジル大会は、コスタリカの躍進を指をくわえて見ているようなグループリーグ敗退。そして今回のユーロでは歴史的敗戦と、68歳の老将を擁護できる材料は、残念ながらまったくありません。

昨日の試合は無残でした。プレミアリーグ得点王のハリー・ケイン、迷いながらプレイしていたラヒム・スターリングといった不調選手をスタメンに戻して前半は1-2で折り返し。早い時間に追いつきたい後半頭から投入されたのは、昨季プレミアリーグで3試合しか顔を見せていない「3人めのスランプ」ジャック・ウィルシャーでした。スタリッジはゴールから遠い右サイドで才能を無駄遣い。明らかにキックの感触がよくないハリー・ケインにCKやFKを蹴らせるたびに、ボールはことごとく相手GKに渡ります。ジェイミー・ヴァーディを入れた後に放り込みに走るという不可解な戦い方が続き、最後の切り札ラシュフォード投入は85分という遅さ。追加タイムを入れてもたった10分の出場で、両チーム最多となる3回の突破成功を果たした18歳ストライカーにあと10分でも時間があれば、この悲惨な結果は変わっていたかもしれません。

これだけ明確に指揮官の采配で負けたゲームも珍しいでしょう。悲劇の予兆は、終了間際に追いつかれた初戦のロシア戦から見え隠れしていました。ルーニーをウィルシャーという狙いが曖昧な交代、後半は機能していなかったスターリングを87分まで引っ張った対応の遅さ。ミルナーという頼れるベテランの力を活かせず、2年後には主役としての活躍が期待されるロス・バークリーやジョン・ストーンズに経験を積ませることもできず。ホジソン監督の時間は、予選序盤で止まっていたのかもしれません。エースはルーニー、中盤の軸はウィルシャー、GKは何があってもジョー・ハートなのだ、と。最後の試合の終盤、彼が戸惑いの表情を浮かべていたのは、ベンチをいくら探してもウェルベックがいなかったから…?何も得るものがなく、何も残すことができなかった指揮官の退場は妥当でしょう。マスコミやイングランド代表OBは、声を揃えて指揮官の采配がもたらした最悪の結末について嘆き、非難しています。

「屈辱。イングランドサッカー史上最悪の結果。歴代最悪の監督のひとりとして、ホジソンの壊滅的な4年間の支配は終焉を迎えた」(デイリー・ミラー)
「彼らは、1週間に2回も欧州から去った」(アメリカ・タイム誌)
「今まで観たイングランド代表のなかで、最悪のパフォーマンスだった。正直いって恥ずかしい。私たちは、プレミアリーグにはワールドクラスの選手が集まっていると信じていたが、外国人の選手や監督に依存しているだけだ。…どう考えればジャック・ウィルシャーを選べるのだろうか。彼は昨季、141分間しかプレイしていない。なぜ、彼が代表にフィットすると思ったのか」(リオ・ファーディナンド)
「彼(=ホジソン監督)は人格者であり、威厳のある男だと思うけど、格下のアイスランドに敗れたことは国民の頭から永遠に離れないだろう」(ガリー・リネカー)

2大会連続で不甲斐ない結果に終わったイングランドは、2年後のワールドカップで同じような結果に留まるわけにはいきません。メディアやファンの興味は、早くも次の監督の人選に移っているようです。現地で名前が挙がっているのは、ホジソン監督の下でアシスタントコーチを務めていたガリー・ネビル、ボーンマスをプレミアリーグ残留に導いたエディ・ハウ、クリスタル・パレスのアラン・パーデュー、サンダーランドのサム・アラダイスなど。ブックメーカー「Sky Bet」の本命は、U-21イングランド代表監督のガレス・サウスゲートです。こうしてみると、「イングランド代表監督は難しい仕事だが、それよりも難しいのはイングランド代表監督を選ぶ仕事だ」という声があるのはわかります。ガリー・ネビルさんはバレンシアでの失敗の記憶が鮮やか。エディ・ハウさんは38歳という若さでマスコミやFAを仕切れるかが心配。サウスゲイトさんは、プレミアリーグの中堅クラブならまだしも、代表となるとサポーターの支持が得られないのではないかといわれています。

一方、現地のファンは、EUは離脱しても代表監督は外国から迎え入れてもいいと考えているようです。イギリスメディア「メトロ」が、12名のリストから最も適任を選択させるアンケートを実施しています。ここでトップに立ったのは、パリ・サンジェルマンを解任されたばかりのローラン・ブラン。20%を占めたマンチェスター・ユナイテッドOBに続いたのは、アラン・パーデューで15%。以下アーセン・ヴェンゲル10%、ペジェグリーニ、ビリッチ、アラダイスがそれぞれ8%となっています。FAのグレッグ・ダイク会長は、外国人監督を選ぶ場合は「イングランドのサッカーに精通していること」を条件に挙げていますが、ここに名前が出た方々なら問題ないでしょう。現在プレミアリーグのクラブを指揮している監督が難しいとすると、ブランかペジェグリーニとなりますが、あるいはこんなサプライズもあるのでしょうか…。

「私はこの仕事をできると思う。しかし彼ら(FA)は、あなたは経験不足だといったんだ。これに対して私は、『FAは経験豊富な人に大金を払ってきたが、私は彼らより悪くはしないよ』と返した。もちろん、やりたい。彼らと話そうと思う。私の経験を提供したい」(アラン・シアラー)

2009年にニューカッスルで1ヵ月半指揮を執った経験が、FAの方々に響くかどうかはさておき、情熱的な彼が監督になれば、アイスランド戦のような寂しい負け方はしないでしょう。昨日のイングランド代表に最も足りなかったのは、自信とプライドだったのではないかと思います。ジャックは下を向き、ルーニーは無表情で、スモーリングが焦りで顔をひきつらせていたなか、ピッチのうえで代表としての誇りを体現していたのは、ジェイミー・ヴァーディとマーカス・ラシュフォードだけでした。いちばん自信を失っていたように見えたのが、ベンチに座り込んで頭を抱えていた監督だったチームだけに、シンプルな戦術とファイティングポーズを植え付けるだけでも、次の大会のベスト8ならいけるでしょう。自国からか外国か、いずれにしてもイングランド代表監督の選考は、しばらく時間がかかりそうです。(ローラン・ブラン 写真著作者/Илья Хохлов)


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【ユーロ2016】度重なる采配ミスに攻撃陣は大混乱…負けるべくして負けたイングランド!

ユーロ2016は、早いものでラウンド16最後の一戦です。イングランドのGKは不動のジョー・ハート、SBにはカイル・ウォーカーとダニー・ローズのトッテナムコンビが戻ってきました。CBは動かしようがないスモーリングとケーヒル、中盤のルーニー、デル・アリ、エリック・ダイアーと前線のスタリッジまではわかるのですが、なぜスターリング、なぜハリー・ケイン!?マンチェスター・シティのアタッカーとプレミアリーグ得点王に、何としても復活してほしいということなのでしょうか。アイスランドなら、不調の選手の復活を促しながらでも勝てると踏んだのかもしれませんが、ジェイミー・ヴァーディ、ヘンダーソン、ララナを全員外す采配には疑問が残ります。相手のエースは、プレミアリーグでおなじみのスウォンジーMFギルフィ・シグルズソン。プレースキックの名手に、ゴールに近い位置でボールをセットさせてはいけません。

開始2分、右サイドからワンツーで中に入ったスタリッジが左足のシュート。その2分後、イングランドがあっさり先制します。右のスタリッジから中に走り込んだスターリングに絶妙のクロス。流れたボールを追いかけたスターリングをGKハルドーソンが倒してしまい、ジャッジはPKです。主将のルーニーは冷静でした。左隅に蹴り込んだボールはGKの読み通りでしたが、ポスト脇に決まれば文句なし。1-0でイングランドに勢いがつくと思いきや、6分にアイスランドもまた、あっさり追いつきます。彼らの武器のひとつは、グンナルソンのロングスロー。評論家のポール・マーソン氏が要注意と警告していたボールがゴール前に入ると、アルナソンが頭で逸らしたボールに飛び込んだのはラクダル・シグルズソン!1-1となると、イングランドが再度ゲームを支配。ルーニーが何度もCKを蹴りに走り、15分にはデル・アリの強烈なミドルがクロスバーすれすれを襲います。

しかし18分、勝ち越しゴールはアイスランドでした。シグルズソンが縦に入れたパスをボドバルソンが落とすと、シグソールソンのドリブルにスモーリングもケーヒルも足元に入れず。右隅へのシュートは、ウェールズ戦に続いてジョー・ハートが弾き切れず、ゆっくりゴールに転がっていきます。包囲網を敷きながら崩せない強者と、シンプルで効果的な攻撃を仕掛ける弱者。プレミアリーグでもよく見る光景が、今まさに繰り広げられています。ジョー・ハートは今日も不安定で、ラクダル・シグルズソンとの競り合いではパンチを空振りし、スタンドの悲鳴を誘います。

28分のイングランドは、いい展開でした。右サイドのハリー・ケインから中のデル・アリ。スパーズのMFが右にいたスタリッジを走らせると、ファーに出たクロスをボレーで合わせたのはハリー・ケイン。GKハルドーソンに上に弾かれ決まらなかったものの、ボールが速く動く攻撃を続けられれば、同点ゴールはそう遠くないはずです。35分のルーニーのミドルは、左隅を狙った意志のあるシュートでしたがうまく落とせず。44分にカイル・ウォーカーのクロスを叩いたルーニーのボレーはミートしませんでした。アイスランドのプレスが的確で、イングランドは縦へのボールを出せなくなっています。前半は1-2。自国リーグの登録選手が100人の小国がプレミアリーグの国を倒せば、まさにジャイアントキリング。その瞬間まで、残すところあと45分です。

後半のピッチには…なぜウィルシャー!?エリック・ダイアーを下げるということは、ルーニーと並べて4-2-3-1にスイッチするのでしょうか。私は、いじるならララナを入れて4-4-2にしたほうがいいのではないかと思いました。後半のイングランドは、単発のロングボールを前線に飛ばすだけで、これといったチャンスが創れません。55分、アイスランドの初めてのCKは、ラクダル・シグルズソンのオーバーヘッドがハートの正面で助かりました。ホジソン監督は、頻繁にスペースを創る動きを繰り返すスタリッジを右サイドに閉じ込めたまま、時間を浪費するつもりでしょうか。59分、スターリングが下がってジェイミー・ヴァーディ。スタリッジのクロスに中央で合わせたデル・アリのボレーは浮いてしまい、依然として1-2です。イングランドに残された時間は30分を切りました。

プレミアリーグ得点王はFKを大きく外し、ミドルを打ち損なったウィルシャーは浮かない顔をしています。ルーニーはミスパスが多く、スモーリングの表情には焦りの色。いつも通りにプレイしているのは、カイル・ウォーカーのみ。可能性が感じられるのはジェイミー・ヴァーディです。70分に縦に抜け出しかけたヴァーディは、迫力がありましたが一歩及ばず。プレイに正確さを欠くルーニーは、ヘンダーソンかララナに代えたほうがよさそうです。72分には、それまで守備に専念していた右SBサイヴァルソンにシュートを打たれました。スタリッジは右サイドのまま、ゲームから消えかかっています。

78分、ウィルシャーの浮き球をヘッドで合わせたハリー・ケインは角度がなく、中に落としたほうが可能性は高かったでしょう。残り時間は10分、代表選手としての誇りをプレイで表現しているのは、ひたすら走り回るジェイミー・ヴァーディだけです。83分、決定機はアイスランドのグンナルソン。カウンターから中央を突破し、ウィルシャーをかわして放ったシュートはジョー・ハートが何とかセーブしました。

残り3分、ようやくルーニーが下がってラシュフォード。この交代はあまりにも遅かった…。ストライカーを4人にしてパワープレーを目論んだのに、シュートを打てない位置からのFKをハリー・ケインが蹴っている理由がわかりません。89分、ラシュフォードの突破は久しぶりのチャンスでしたが、1本持ち過ぎ、中に入れられず。それでも18歳のストライカーは、最後まで戦い続けました。CKを奪い、自ら蹴り…しかし誰もシュートは打てません。93分、スタリッジのクロスにヴァーディが競り、最後のCKでフリーだったデル・アリがヘディングをミスすると、タイムアップの笛。今大会最大のジャイアントキリングは、ハーフタイムには充分予想できた妥当な結末でした。

これほど采配ミスを重ねて負けたチームを観ることは、ほとんどありません。いいときのキックの感触を明らかに忘れていたハリー・ケインは、前半で代えてあげたほうがよかったでしょう。ここまで攻撃の中心にいたララナと、スロバキア戦でよかったヘンダーソンを使わなかったのはなぜでしょうか。スタメンに不調選手を2人も入れたために交代カードをその補修に取られ、中盤を活性化する手が打てないまま、無為な時間を過ごすことになってしまいました。ヴァーディを入れたのに戦術は放り込み、さらにラシュフォードという今までやったことがない戦い方では、最終盤に前線が混乱をきたしてシュートにいけないのも無理はありません。ロングクロスでいくと腹をくくるなら、ルーニーに代えるのはラシュフォードではなく、後方からボールが出せてミドルもあるヘンダーソンとし、最終ラインを3枚にしてでもケーヒルかスモーリングを前線に置きっぱなしにしたほうがよかったと思います。残り15分までに、適切な最後のカードを切っていれば、アイスランドを脅かすこともできずに負けることはなかったのではないでしょうか。

GK、CB、キャプテン、トップにはいろいろいいたくなってしまう一戦でしたが、何しろあのカオスです。個々の選手の足りなかったところを指摘するのはやめておきましょう。最後に、私が望んでいた本日のメンバーを発表させていただきます。GKジョー・ハート、DFナサニエル・クライン、ダニー・ローズ、スモーリング、ケーヒル。MFエリック・ダイアー、アダム・ララナ、ウェイン・ルーニー、デル・アリ。FWジェイミー・ヴァーディ、ダニエル・スタリッジ。交代カードは展開によりますが、基本はヘンダーソン、ミルナー、ラシュフォードあるいはカイル・ウォーカー。2点差以上リードしたときは、ロス・バークリー、そしてハリー・ケイン。


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【ユーロ2016】泥くさいゴール、堅守、カウンター…老獪なイタリアがスペインの3連覇を阻む完勝!

ブッフォン、ボヌッチ、バルザーリ、キエリーニ。前線の顔ぶれは地味なイタリアですが、ユヴェントスのメンバーをそのまま持ってきたGKと3バックはワールドクラス。欧州王者のスペインといえども簡単には崩せないでしょう。前回の決勝戦のカードは、グループリーグでスペインがクロアチアに敗れたために、ラウンド16という早いタイミングで実現してしまいました。プレミアリーグファン、いや、マンチェスター・ユナイテッドサポーターとしては、デ・ヘアがノイアーやブッフォンに劣らないGKであるところを見せてほしいと願いつつ、セスク、ダヴィド・シルヴァ、グラツィアーノ・ペッレといった現役プレミアリーグ勢と、サンダーランドで苦しんだ後に復活したジャッケリーニにも注目です。好ゲームが期待された一戦は、意外にもイタリアの一方的な攻勢で幕を開けました。

デ・ロッシが中央から球を散らし、フロレンツィとジャッケリーニが脇に出て危険なラストパスをフィード。エデルは中央でめまぐるしくポジションを変え、6分には思い切りのいいミドルを放ちます。8分、デ・ロッシのFKにグラツィアーノ・ペッレが頭で合わせると、右隅に沈むボールにデ・ヘアがビッグセーブ!プレミアリーグで何度もクラブを救ってきた守護神は、今大会は不安定だったものの、早くも持ち味を発揮しました。11分に右からのクロスをペッレが折り返し、ジャッケリーニがオーバーヘッドを打ったシーンも、ファールのジャッジながらもデ・ヘアが弾いています。ボールポゼッションをとるイタリアに対して、スペインがようやく反撃に出たのは19分。ダヴィド・シルヴァからモラタとつながった左サイドのボールが中央のセスクに渡るも、渾身のミドルはDFにブロックされます。

イニシアティブを握るのは、やはりイタリアです。25分、イタリアの速攻は、左のデ・シリオが入れたクロスをパローロがヘッドで叩くも、ポストの右。29分のデ・シリオのグラウンダーは、わずかにエデルに合いません。すると34分、ついにイタリアが先制です。エデルのFKは壁の脇を抜ける低い弾道。デ・ヘアは捕るか大きく弾くか、はっきりしなければいけませんでした。前にファンブルしたボールをジャッケリーニにつつかれ、こぼれ球をキエリーニが冷静にプッシュ。サイドを崩すシーンがまったくなく、攻めあぐむスペインにとっては苦しい展開となりました。

エデルが右サイドを疾走し、フロレンツィは休むことなく再三クロスをフィード。右サイドを執拗に突くイタリアの速攻は脅威です。前半終了間際には、ペッレのパスを左サイドで受けたジャッケリーニが中に斬り込んでシュート。素晴らしい一撃でしたが、これはデ・ヘアが素晴らしいセーブを見せ、追加点を許しません。前半は1-0のまま終了。デルボスケ監督は、ノリートをビルバオのアルツ・アドゥリスに代え、高さで劣勢を打開しようとしています。

後半開始直後、スペインは3つのセットプレーのチャンスがありましたが、いずれもイタリアの堅い守りにはね返されます。52分にセスクが打ったミドルは大きく枠の上。押され始めたコンテ監督は、54分にデ・ロッシをモッタにチェンジし、中盤の活性化を図ります。するとその直後、パローロの縦パスを最前線でペッレが落とすと、最終ラインの裏に抜け出したエデルがデ・ヘアと1対1。決まるかと思われた右足の一撃は守護神が腹に当てて防ぎ、スペインは命拾いします。

61分、イタリアがゴール前で3対2の形となり、左に出たエデルが速いボールを折り返したシーンは、デ・ヘアがまたもファンブルし、最終ラインのカバーに助けられます。モラタがサイドに張ったスペインに連動性のある崩しはなく、プレミアリーグでは自在に前線をしきるダヴィド・シルヴァに、彼らしいパスワークが見られません。70分、左からのグラウンダーをイニエスタが巧みにスルーし、アドゥリスが左足でボレーを放つと、ボールはポストすれすれを走っていきます。デルボスケ監督はいよいよモラタを諦め、ルカス・バスケス投入。残り時間が20分を過ぎると、スペインが相手の最終ラインにかけるプレスが強度を増し、イタリアは自陣でのボールロストが目立ちます。

76分、ルカス・バスケスの右からの戻しを迷わず打ったイニエスタの強烈なボレーは、ブッフォンがセーブ。ピケの素晴らしい左足ミドルもイタリア代表の守護神が飛んで弾きます。81分のペドロ・ロドリゲス投入は、攻撃的意図ではなく後半からピッチに入ったアドゥリスの負傷によるものでした。コンテ監督は、疲れが見え始めたエデルをインシーニェ。直後のフロレンツィをダルミアンは、サイドの守備の補修でしょう。プレミアリーグで不本意なシーズンを過ごしたペドロとダルミアンは、10分という限られたチャンスでそれぞれのミッションを完遂できるでしょうか。インシーニェがドリブルで持ち込み、遠めから放ったシュートはデ・ヘアが正面でセーブ。89分、スペインに最大の決定機が訪れます。デ・ヘアが前線に大きく蹴ると、クリアミスしたボールがゴール前に詰めていたピケの前に流れ、背番号3はつま先で左隅にプッシュ。同点かと思われたピンチを右手で掻き出したのは、完璧なブッフォンでした。

92分、ついに勝負が決します。イタリアのカウンター。インシーニェが右のダルミアンに出した素晴らしいサイドチェンジで半分は決まりでした。右から持ち込んだダルミアンのラストパスは相手の足に当たり、ゴール前にフリーで飛び出したグラツィアーノ・ペッレにとって打ち頃の高さに浮き上がります。エースのボレーが容赦なくネットを突き刺し、2-0。歓喜のコンテ監督は、ベンチの屋根をよじ登ってサポーターと喜びを分かち合っています。1点を守って、最後はペッレがカウンターでとどめを刺すというベルギー戦をトレースしたかのような完勝劇。チームとしての完成度で上回ったイタリアがスペインの3連覇の夢を潰し、ドイツとベスト8を戦うことになりました。

ミスしたGKと防ぎ切ったGK、消えたモラタと決めたペッレなど、勝敗を分けたポイントはいくつかありましたが、最初の感想は、「この監督がプレミアリーグに来るのは脅威」です。機能的な守備と流れるような速攻の切れ味に、コンテ戦術の質の高さをあらためて感じました。スペインには連動性のある攻撃がなく、サイドで勝てず、裏も取れず。アドゥリスの高さとミドルしか頼る者がなければ、この結果を受け入れるしかありません。ドイツとイタリア…このカードもまた、ベスト8は少し早い気がしてしまいます。私はイタリア推しですが、どちらが勝つにしても今日以上の激戦となりそうです。


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【ユーロ2016】開始2分にPKで失点も、一瞬の隙を突いたグリーズマンの2発でフランスが逆転勝利!

開始わずか80秒でした。バーンリーのウォードがいい飛び出しでフランスのクリアをさらい、アーリークロス。イプスウィッチのマーフィーが左足で狙ったシュートはブロックされるものの、こぼれ球を打とうとしたサウサンプトンのシェーン・ロングをポグバが後ろから引っかけてしまいます。ジャッジはPK。蹴るのはノリッジのブレイディ。右のポストを叩いた強烈なシュートは、さすがのロリスもノーチャンスです。プレミアリーグの中堅クラブとチャンピオンシップの選手で築いた、開催国相手の先制劇。ユーロ2016ラウンド16、フランスVSアイルランドは「アウェイチーム」が0-1とリードします。

ロリス、サニャ、コシールニー、カンテ、パイェ、ジルー。フランスはいつも通り、プレミアリーグの上位クラブ所属の選手がスタメンの過半を占めています。1点をリードされ、反撃に転じた開催国は、左右からのクロスをジルーとグリーズマンに合わせるシンプルな攻撃を展開。8分には左45度からのFKをパイェが蹴るも、ウェストハムの同僚ランドルフに余裕でキャッチされてしまいます。18分のFKは、パイェの正確なキックをグリーズマンがヘッドで角度を変えるも、やはりGKがキャッチ。シェーン・ロングの肘が胸に入ったポグバは大丈夫のようです。

21分、アイルランドにチャンスです。ウォードのロングスローがDFに当たってこぼれたところをマーフィーがボレーで狙うと、隅に飛んだボールはロリスが指先でセーブ。右から上がってこれを拾ったヘンドリックのシュートは弱く、スパーズのGKにキャッチされてしまいます。フランスは、カンテがペナルティエリアの手前まで上がってアイルランドボールに突っかかるアグレッシブなプレスを披露。奪ったボールを左右に散らし、グリーズマンやパイェに打たせようとしています。24分、ポグバが直接狙ったFKは強さが足りず、ランドルフがセーブ。フランスは焦りからかゴール前に持ち込んだ後の工夫が足りず、時折フリーで放つシュートは余裕のないヘディングばかりです。

38分、アイルランドは前線のマーフィーにロングフィードが通り、抜きにかかったドリブルはカットされるものの、左からのクロスがシェーン・ロングへ。後ろに出たボールをつま先でうまくトラップしたロングは、フィニッシュに持ち込もうとしたところを止められ2点めはなりません。42分、キックの正確さに定評があるブレイディが蹴ったFKは、ダフィーの頭にぴったりでしたが、ロリスが諦めかけたボールはわずかに右。フランスの同点よりも、アイルランドの2点めのほうが先になりそうな展開です。45分のポグバの縦パスは、ジルーが及ばず。終了直前にグリーズマン、ジルー、パイェ、マチュイディとつながり右サイドを破ったチャンスは、パイェとグリーズマンのシュートがことごとく止められ、前半はそのまま終わります。ハーフタイムにカンテをコマンに代えるという勝負に出たデシャン監督。フランスは早い時間に追いつかないと、プレミアリーグ勢が多いアイルランドの守備陣は、心得てますとばかりにベタ引きで抵抗してくるでしょう。

4-3-3から4-2-3-1にスイッチしたフランスの最初の決定機は48分。パイェのFKをポグバが頭で逸らすと、コシールニーのダイビングヘッドは当たりが薄く、惜しくも枠におさまりません。51分、アイルランドの逆襲。マクレーンの左からのグラウンダーをロリスが弾かなければ、シェーン・ロングが仕留めていたでしょう。フランスは、ボールをもらいにいく動きもスペースを創る仕掛けも少なく、パスのほとんどが足元。攻撃はセットプレーとミドルに頼らざるをえず、55分のマチュイディの強烈なミドルはランドルフに左に弾かれます。しかし57分、アイルランドは最も危険な選手から目を離してしまいました。パイェが右に展開し、サニャが入れたクロス。マッカーシーがグリーズマンを見失い、フリーのヘッドがゴール左隅に吸い込まれます。

1-1となり、ゲームは活気を取り戻しました。ウォードのシュートは相手の頭に当たり、パイェの丁寧なミドルはわずかにバーの上。フランスが勝ち越したのは61分、ポストプレーのうまさはプレミアリーグ屈指のオリヴィエ・ジルーが、ラミのロングフィードをグリーズマンの前のスペースにピタリと落とす名人芸を決めました。フリーでゴール正面に入ったグリーズマンが左足を振り抜くと、完璧な弾道のシュートは右隅に一直線。2-1となり、攻めなくてはならなくなったアイルランドは、たびたび最終ラインの裏を空けざるをえなくなります。

パイェを防いだ後の66分、グリーズマンの単独突破は止められず、後ろから引っかけたダフィーが決定機阻止でレッドカード。アイルランドの夏は、この瞬間に終わりました。73分にジルーに代わったジニャクが決定機を活かしていれば、フランスは余裕をもって試合を畳みにいけたでしょう。とはいえ、アイルランドには劣勢を跳ね返すだけのアイデアも底力もなく、フランスの4分の1しかないシュート6本でタイムアップを迎えます。スロースターターの強者が、いつも通り苦しみながらも順当に勝った一戦でした。

勝ちはしたものの攻撃が大味といういい方もできる一方、パイェやポグバ、ジルー、グリーズマンと一発で局面を打開できる飛び道具揃いともいえるフランス。落ち着いてスコアをひっくり返したのはさすがでしたが、今後当たる強敵に対しては、運動量とコンビネーションの精度を上げていかないと厳しいでしょう。次戦は順当ならイングランド。プレミアリーグファンにとってはたまらない試合です。2枚のイエローをもらったカンテとラミ不在のゲームで、デシャン監督が選ぶ戦い方に注目したいと思います。


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プレミアリーグがとりわけ好きなのは間違いありませんが、チャンピオンシップ、セリエA、ブンデスリーガ、リーガエスパニョーラ、チャンピオンズリーグ、ヨーロッパリーグはもちろん、Jリーグ、なでしこリーグ、高校サッカーまで何でも観ます。今季のプレミアリーグで、特に活躍を期待している選手は、ダヴィド・デ・ヘア、マーカス・ラシュフォード、メスト・エジル、モー・サラー、エリクセン、ムヒタリアン、岡崎慎司、吉田麻也です。

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