「次に解任される監督は…」ブックメーカーの本命3人の現状と展望!

12月はジョゼ・モウリーニョとクロード・ピュエルの2トップでしたが、1月末からマウリシオ・サッリ監督の人気が急上昇。プレミアリーグに関するさまざまなテーマで場を立てているブックメーカーのうち、「Next Manager To Leave Post(職を離れる次のマネージャー)」のオッズを出している主要7社は、上位3人の並びがほぼ同じです。本命サッリ、対抗マルコ・シウヴァ、3番人気がピュエル。彼らが率いるチームのプレミアリーグ後半戦の戦績を見れば、納得せざるをえません。ボーンマスに4-0、マンチェスター・シティに6-0と大敗を喫したチェルシーは3勝1分3敗。8試合で5ゴールと、攻撃陣が機能していないエヴァートンは2勝6敗。カーディフとセインツに本拠地キングパワーで敗れたレスターは、1勝1分5敗です。苦闘が続く指揮官たちは、シーズンが終わる前に見限られてしまうのでしょうか。それぞれが置かれている状況をチェックし、今後を展望してみたいと思います。

アブラモヴィッチオーナーが来てから、初年度でプレミアリーグ制覇を果たせなかった監督のうち、2年めがあったのは第二次政権のジョゼ・モウリーニョのみ。過去15シーズンでオーナーの信頼を得た唯一の監督以外は、3月上旬までに解任されています。本日はFAカップ5回戦のマンチェスター・ユナイテッド戦、木曜日にはマルメと戦うELラウンド16のセカンドレグ、日曜日はカラバオカップ決勝のマンチェスター・シティ戦、27日はスタンフォード・ブリッジでトッテナムとのロンドンダービー。厳しい試合が続きますが、敗れても許されそうなのはFAカップだけではないでしょうか。マン・シティやスパーズに大敗はNG。マルメに破れてヨーロッパリーグ優勝の道が絶たれれば、プレミアリーグ4位から遠ざかった瞬間にジャッジが下される可能性が高まります。

「タイムズ」は、クラブがチャンピオンズリーグ出場権を得られないと決まったら解任と報道。「デイリー・ミラー」は、「Maurizio Sarri to be sacked by Chelsea 'as soon as one thing happens'(何かがひとつでも起これば、マウリシオ・サッリは即座に解任される)」と題した記事を掲載し、カラバオカップ優勝ではサッリは救われないと主張しています。マルメ戦の記者会見にブルース・バック会長が顔を出すという異例の動きがあったことからも、チェルシーの監督には連勝しか生き残る道はないのが窺えます。ジョルジーニョとアザールをチェックされると、途端に攻められなくなるサッリのチームは、打開策を手に入れることができるでしょうか。本命にベットしているプレミアリーグファンは、直近4戦から目が離せないでしょう。

エヴァートンの不振は、マルコ・シウヴァ監督自身の問題だと思われます。トップを毎試合変え、リシャルリソンをサイドに出したり前に据えたりベンチに置いたりといじりすぎ、前線とサイドが混乱しているように見えます。リシャルリソン、シグルズソン、グイェ&アンドレ・ゴメスを背骨として、彼らからサイドに展開して攻める形を徹底したほうがいいのではないでしょうか。戦術家としての力はハル・シティとワトフォードで証明済みの指揮官が、いま問われているのは「胆力」でしょう。

ブックメーカーで常に上位に顔を出しているレスターのピュエル監督は、セインツ時代もサポーターから不人気でした。嫌われるポイントは、守備的な戦い方と内向的な性格です。ゴールシーンでも顔色ひとつ変えずにベンチに座っていることが多く、何を考えているのかわからないという声が後を絶ちません。「デイリー・ミラー」が、ピーター・シュマイケルが息子のカスパーに移籍を勧めていると伝えておりますが、マンチェスター・ユナイテッドのレジェンドが気に入らないのは「選手の力を引き出せていないから」とのこと。「カスパーはプレミアリーグを愛しすぎている」と語る父親は、「いい選手を揃えたレスターは、5位から8位は狙えるチーム」と評価しており、12位に沈んでいる原因を監督の采配に求めているようです。

リカルド・ペレイラ、チルウェル、マグワイアで最終ラインを若返らせ、デマライ・グレイ、ジェームズ・マディソン、エンディディ、イヘアナチョ、チョードリーといったU-22のヤングスターを育てようとしているピュエル監督は、プレミアリーグで最も若手に出場時間を与えているマネージャーです。冬のマーケットでは、イボーラとベナルアンの31歳コンビを売却。モナコから21歳のティーレマンスをレンタルし、WBAからも21歳FWハーヴィー・バーンズを呼び戻すというさらなる若手獲得策を推進しました。ジェイミー・ヴァーディーや岡崎慎司がクラブを離れるとき、レスターはおもしろいチームに仕上がっているのではないでしょうか。ピュエル監督が、5戦連続勝利なしの泥沼から早期に脱出できれば、もうしばらく任せてみてもいいのではないかと思います。

それぞれに魅力ある監督だけに、心情的には「No Manager To Leave」にベットしたいのですが、不振から抜け出せない監督は任を解かれてしまうのでしょう。必ず誰かに張れといわれれば、最も監督に厳しいプレミアリーグ6位クラブでしょうか…。定番のネタではありますが、何年このリーグを見ていても、就任1年未満の「sack」に出会うと心臓がバクバクします。あらためて、監督業かくも厳しきものか、と。


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監督解任は正解?焦りすぎ?明暗分かれるプレミアリーグの「後任指揮官」たち。

スラヴィシャ・ヨカノヴィッチ、マーク・ヒューズ、ジョゼ・モウリーニョ。今季プレミアリーグでは、3人の監督が期中に解任となり、最下位ハダースフィールドのデヴィッド・ワグナーは自らクラブを離れるという決断をしました。彼らの後任は、クラウディオ・ラニエリ、ラルフ・ハーゼンヒュットル、オーレ・グンナー・スールシャール、ヤン・ジーヴェルト。クラブの監督解任というジャッジは正しかったのか、後釜の人選は適切だったのかが気になります。それぞれのクラブについて、ビフォー・アフターの戦績を比較しつつ、今後を展望してみたいと思います。

2018-19シーズンの監督更迭劇のなかで、最も成功したのがマンチェスター・ユナイテッドであることは論を待たないでしょう。17試合でやっと7勝だったモウリーニョ監督に対して、スールシャール暫定監督は8試合で同じ勝利数を叩き出してしまいました。公式戦10試合9勝1分、プレミアリーグは8試合で7勝1分。前任者は29ゴール29失点と微妙なスタッツでしたが、ノルウェーから来たクラブOBは20ゴール6失点という文句なしの数字を残しています。

不振の最大の理由が前任者と選手たちの不和だったため、立て直しやすい状況だったとは思われますが、それにしても10戦無敗は見事です。新機軸はラシュフォードのトップ起用とポグバの攻撃的な役割へのシフト。21歳のストライカーは8戦6発と結果を出し、ポグバも6ゴール5アシストという出色のスタッツを記録しています。プレミアリーグ4位のチェルシーの背中は目の前にあり、チャンピオンズリーグのパリ戦も楽しみになりました。CL出場権を獲得すれば、次のシーズンのオールド・トラフォードでもスールシャール監督の姿を見られるかもしれません。

ヨカノヴィッチ監督の下では1勝2分9敗と散々だったフラムは、ラニエリ就任以降は3勝3分7敗と改善してはいるものの、17位のバーンリーとは7ポイント差という厳しい状況が続いています。アウェイ勝利は未だゼロ。守備戦術には定評があるラニエリ監督の指揮下でも、13試合中9試合が2失点以上と、プレミアリーグ最多失点のDF陣に覚醒の兆しはありません。

イタリア人指揮官は、戦い方の軸を作るべくレギュラー固定。オドイ、リーム、ル・マルシャンの3バックにクリスティとジョー・ブライアンのアウトサイド。中盤センターはセリとチャンバースが仕切り、シュールレとバベルの前に今季プレミアリーグ10発のミトロヴィッチという布陣です。18歳のモンスター、ライアン・セセニョンが弾き出されてしまったのは残念ですが、守備を重視するならこの11人でしょう。勝ち点7差をひっくり返すためには、残り13試合で5勝は必要だと思われます。ラニエリの改革は、間に合わない可能性のほうが高そうです。

サウサンプトンを混乱させてしまったマーク・ヒューズは、プレミアリーグ14試合で1勝6分7敗。「アルプスのクロップ」というニックネームを嫌がるハーゼンヒュットル監督は、リヴァプールを思い出させるプレッシングを18位だったチームに持ち込み、4勝3分3敗と立て直しました。アーセナルに3-2で競り勝ち、チェルシー戦はスコアレスドロー。ノーゴールだったレドモンドをゴールに近いポジションで起用し、公式戦5ゴールという結果を出させたうえで、ロメウとウォード=プラウズをスタメンに戻して中盤を安定させています。24歳になった生え抜きMFウォード=プラウズは、先発復帰後の6試合で4ゴールとブレイク。前任者がうまく使えなかったヴェステルゴーアを最終ラインに定着させたオーストリア人マネージャーは、来季も引き続き指揮を執るのではないでしょうか。

1月14日にワグナーの後を継いだばかりのジーヴェルト監督は就任のタイミングが悪く、マンチェスター・シティ、エヴァートン、チェルシーにノーゴールで3連敗です。36歳と若い監督を招聘したハダースフィールドは、チャンピオンシップで戦うことになりそうな2019-20シーズンを見据えているのではないかと思われます。明暗分かれる後任指揮官たち。プレミアリーグ最下位のチームを引き受けた2人が苦しみ、ダッチロールしていたチームに明快な戦術を持ち込んだ2人は巻き返しに成功しています。今季は、ここから先の監督解任はないと見ておりますが、果たして…⁉ブックメーカーの予想は、本命マルコ・シウヴァ、対抗はレスターのクロード・ピュエル、3番人気は「No Manager To Leave」です。


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「永遠に残る思い出を作った」…ハダースフィールド、功労者ワグナー監督との悲しき訣別。

「双方合意の上」といわれる監督の辞任のほとんどは「Sacked(解任)」であるというのがプレミアリーグの定説ですが、最下位に沈むハダースフィールドのディーン・ホイルチェアマンは、このたびの結論は本当に一緒に決めたことなのだと主張しています。「以前からいっていたように、今季はデヴィッドを解任する気はなかった。偉大な男…デヴィッドは私たちに、フットボールマネジメントの厳しさから解放される必要があると明言した」。プレミアリーグ22試合2勝5分15敗と不振にあえいでいたデヴィッド・ワグナー監督は、クラブが浮上するために自らが去るべきと考えたのでしょう。2015年11月から4年に渡る蜜月は、プレミアリーグ9戦勝利なしという無残な戦績によって終わりを告げることになりました。

シーズンが終わるまで、ワグナー監督が指揮を執るのが最善と判断していたと語るクラブトップの言葉は、そのまま受け取ってもいいのではないでしょうか。ドルトムントのセカンドチームからやってきたドイツ出身のアメリカ人監督は、2016-17シーズンにクラブをチャンピオンシップ5位に引き上げ、45年ぶりのトップリーグに導いた功労者です。

「われわれは、このクラブを過去50年で最高のポジションに導き、永遠に残る思い出を作った。彼の功績は、ハーバート・チャップマンやミック・バクストンのような偉大な名前のように、ハダースフィールド・タウンの歴史に正しく据えられるはずだ。クラブの顔を変えた伝説のマネージャーとして」

47歳の若き指揮官との訣別を「sad day」と表現したチェアマンについて、「BBC」のチーフライターであるマクナルティ氏は「悲しみを帯びた真の温かさを感じた」と述べています。降格必至のハダースフィールドが、来季のチャンピオンシップで巻き返しを図るためには、ワグナー残留がベストだったのではないでしょうか。低迷の最大の理由は、昨季も28ゴールしか決められなかった貧弱な攻撃力。開幕からの10試合で4発しか決められず、2点ゲットしたのは13節のウルヴス戦のみで、22試合13ゴールはもちろんリーグ20位です。フランスから呼び寄せたディアカビとムベンザが振るわず、5人のFWでわずか1ゴールではどうしようもありません。選手のクオリティはカーディフと最下位を争うレベル。ワグナー監督は、親友のユルゲン・クロップとは真逆の守るサッカーに徹してよくがんばっていたと思います。

半分2部のようなクラブが、プレミアリーグで勝てなくてもいいじゃないか。チャンピオンシップで勝利の味を思い出し、もう一度戻ってくればいいじゃないか…。降格圏に落ちると容赦なく監督のクビを切る最近の風潮とは、別な考え方で戦うクラブがあってもいいのではないかと思っていました。今季が悪いのではなく、昨季の残留が奇跡的な快挙だったのだ、と。

ホイルさんも、指揮官に責任を取らせる気はなかったようですが、そうはいっても負け続けると選手たちのモチベーションは下がるものです。現場の雰囲気は、われわれ外野が知る由もなく、ワグナー監督は「もはや自分の采配では選手たちは動かない」と絶望したのかもしれません。チェアマンの悲痛なコメントに心を動かされましたが、そんな思いを置き去りにしながらプレミアリーグは淡々と進みます。メディアとブックメーカーは、今日も容赦なく「Sack Race」などと題した記事を掲載しています。1位クロード・ピュエル、2位ラファエル・ベニテス、3位マルコ・シウヴァ…。(デヴィッド・ワグナー 写真著作者/@cfcunofficial (Chelsea Debs) London)


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リーズが5連勝で首位奪取!奇人変人ビエルサが、ソープアーチの練習場に設置した施設とは…⁉

あの古豪が、16シーズンぶりにプレミアリーグに帰ってくるかもしれません。リーズ・ユナイテッド、チャンピオンシップ5連勝でついに首位奪取!プレミアリーグ創設前年のディビジョン1を制し、1990年代後半には欧州の常連だった名門は、身の丈を超えた補強がたたって財政難に陥り、2003-04シーズンのプレミアリーグ19位でついに降格。2007年には破産宣告を受け、選手へのサラリー支払いに窮するほどだったクラブは、勝ち点マイナス15からのスタートという近年にはないペナルティを受けました。2010-11シーズンにチャンピオンシップに復帰したものの、その後の8シーズンのうち6シーズンは2ケタ順位。時折上位に進出して騒がれながらも、プレーオフに進出するまでには至らず、昨季も17勝9分20敗で13位に終わっています。

2部の中堅クラブが、なぜ首位を快走しているのか。理由はひとつ、あの男がチームに君臨しているからです。奇人変人マルセロ・ビエルサ。バルサの監督に就任する直前のペップに請われてノート1冊では収まりきらない戦術論を授け、10代だったマウリシオ・ポチェッティーノにコーンを使った独特のトレーニング方法を体験させた稀代の戦術マニアは、現在のプレミアリーグの源流といっても過言ではないでしょう。ビエルサ監督という大物を招聘したリーズですが、夏の新戦力でレギュラーといえるのは、300万ポンドでウルヴスから引っ張ってきたバリー・ダグラスのみ。マン・シティからレンタルした22歳のジャック・ハリソンの活躍が驚かれるほど、大した補強をしていないチームが、クリスマス前に首位とはびっくりです。

基本フォーメーションは4-1-4-1。最前線には昨季リーグ戦で11ゴールを記録したクラブのトップスコアラー、ケマル・ルーフェが配され、2列めの主軸はパブロ・エルナンデス、クリヒ、アリオスキ。トップの後ろは流動的で、ジャック・ハリスン、チェルシーからレンタルしたルイス・ベーカー、ボロ時代にプレミアリーグでプレイしていたアダム・フォーショーらが起用されています。アンカーのケヴィン・フィリップスを時折CBにまわすのは、いかにもペップの師匠。圧倒的なポゼッションで相手を押し込む試合が多く、4-1で惨敗した17節のWBA戦でもボール支配率72%を記録しています。

就任したクラブで必ず話題になる奇行のほうも相変わらず絶好調で、スペインメディア「アス」によると、2018年に最も驚かれたのは「ソープアーチの練習場にベッドとキッチンを設置したこと」だそうです。渋滞を避けるためにピッチの脇で寝泊まりするとは、どれだけ戦術マニアかとあきれるばかりですが、こんな監督に規律や自己管理を求められればスタッフも選手も抵抗できないでしょう。アシスタントは、何百時間もの試合のデータを分析してキャンプ状態のマッドマンに奉納し、世界中のファンから届く手紙の返事を一緒に書くのが日課とのこと。選手たちは8月に1日も休みをもらえず、ビールはもちろんNG。体重・体脂肪率・骨密度を毎日測定され、医師の監修のもとで供される食事を摂っているそうです。

日々の体操は御大直々のメニュー。マネキンを使った戦術練習を徹底的に繰り返すのもビエルサスタイルです。すべての芝生が同じ量の太陽光を浴び、同じ長さに刈り揃えられるように指示する監督は、イングランドサッカーの長い歴史のなかでも彼だけではないでしょうか。文句や愚痴をこぼしたい選手もいると思われますが、チームを首位に導いた指揮官を批判するのはオウンゴールです。開幕から8試合無敗と素晴らしいスタートを切ったリーズは、バーミンガムに敗れた後に3勝3分2敗と停滞したものの、WBAに4発喰らって目が覚めたのか、ブリストル戦以降は失点わずか1の5連勝。ソープアーチの主が次に話題になるのは、フットボールの話か、それとも…⁉チャンピオンシップまではチェックできないという方は、FAカップでリーズを観てみてください。1月6日に行われる3回戦の相手はQPR。ここをあっさり勝ち切っていただければ、ペップやポチェッティーノのチームとの師弟対決が実現するかもしれません。いやー、楽しみです!


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あのとき、彼と出会えていれば。「It's over」~極私的モウリーニョ論

I hope the media will also respect my position and let me live my normal life until the moment I decide to return to football. Merry Christmas.(メディアが私の立場を尊重し、フットボールの世界に戻ると決断するまでは普通の生活を送らせてくれることを願う。メリークリスマス)」。マンチェスター・ユナイテッドに任を解かれたジョゼ・モウリーニョ監督が、オフィシャルに配信したステートメントの最後の一文です。クラブに到着したその日から、マンチェスター・ユナイテッドのバッジを身に着けられることを誇りに思っていたと回想した元指揮官は、相当疲れているのでしょう。18日の9時にエド・ウッドワードと会談し、クラブと彼自身の未来について確認したモウリーニョさんは、マンチェスターのロウリーホテルを引き払った後、セントラルロンドンのストリートで「スカイスポーツ」にマイクを向けられました。

「何も話さないよ。すべては終わったことだ」と応えた55歳の元監督は、「今なお、サポーターに私の感情についてシェアする必要があるのか」とコメント。「多くのいいことがあり、いくつかよくないこともあったが、それをいうのは私の流儀ではない」と続け、終わったことについて語るマネージャーには批判的であると自らのスタンスについて説明しています。

Manchester United have a future without me and I have a future without United

ショッピングもしたいし、散歩もしたい。黒いキャップを深々とかぶり、微笑を浮かべながら丁寧に話す彼の表情は、CLのヤングボーイズ戦でフェライニがゴールを決めた瞬間、ボトルケースを破壊した人物とは別人でした。モウリーニョさんがまくしたてたかのように、あるいは皮肉を込めて語ったかのように伝えるメディアもあるようですが、2分弱の間、彼は終始ピュアで柔和でした。「スカイスポーツ」の映像は、静かに発したこんな言葉で締めくくられていました。

Manchester United is past

それを聞いた瞬間、ああ、終わってしまったのだなと痛切に思いました。プレミアリーグで優勝したならいざ知らず、ヨーロッパリーグとキャピタルワンカップを制した後に不振とトラブルによってクラブを離れたとなれば、マンチェスター・ユナイテッドが彼を呼び戻すことはないでしょう。2013年の夏、サー・アレックス・ファーガソンが勇退したあのタイミングで、モウリーニョ監督とともにプレミアリーグを戦えなかったことが残念でなりません。国内リーグとチャンピオンズリーグの勝ち方を熟知していた彼なら、リオ・ファーディナンドやヴィディッチ、キャリック、ルーニー、ファン・ペルシといったベテラン勢を納得させ、頂点に向かえたのではないかと思います。今でも。

ここ数日、モウリーニョ監督の関連記事を3つほど書き、さまざまなコメントをいただきました。多少、誤解があるようなので、この場で説明したいと思います。私は、モウリーニョ監督の退任によって、チームは落ち着きを取り戻すのは間違いないとは思っていますが、強くなるかと問われれば今後の監督次第としかいえません。チェルシー解任時に後を継いだフース・ヒディンクは、10勝11分6敗という数字を残すのが精一杯でした。今回の監督交代は、さらに悪い状態になるリスクを回避するための緊急避難策であり、上位が軒並み強くなっているなかではプレミアリーグ6位以下という着地になる可能性のほうが高いと思います。

そしてもうひとつ、「監督の補強オーダーに応えず、モウリーニョさんよりもポグバを取るようなクラブには、いい監督は来ない」という声について。監督VSスター選手とはいかにもマスコミ的で、「ザ・サン」の見出しならありなのかもしれませんが、ポグバひとりのために監督を更迭するなどといったことはありえないでしょう。解任のトリガーは、マンチェスターダービー以降にプレミアリーグとCLの最下位にしか勝っていない絶不調であり、複数の選手との関係修復が難しくなっていたと考えるのが妥当だと思われます。現地メディアが継続的に不和を報じている選手が、少なくとも5人はいます。盛っている記事もあると思われますが、火のないところにナントカで、何もない選手がここまで追われることはまずありません。

補強についても、過去3年間のプレミアリーグのクラブで最高額の移籍金を費やしたクラブであり、ストライカー、サイドアタッカー、タイプの違う3人のセントラルMF、右SB、CBが2人と指揮官のオーダーを勘案して全方位的に押さえています。今季CBを獲れなかったことがフォーカスされていますが、元々6人を抱えていたポジションゆえ、経営と指揮官の優先順位が食い違うことぐらいはあるでしょう。フェルナンジーニョの後釜が獲れなかったマン・シティ、予算にキャップがはまっていたためベテランのDF獲得に留まったアーセナル、補強ゼロのトッテナムなど、監督のオーダーを叶えられないケースはしばしばあります。マン・ユナイテッドの経営ボードに問題があるのは確かですが、「何でも彼らのせい」はフェアではないでしょう。ユルゲン・クロップとペップが、こんなことをいっています。

「彼はユナイテッドで成功したいと思っていたけど、誰もが望んでいた方法でうまくやれなかった。われわれは、結果を残さないといけない。それがこの世界の仕組みだ。私もそうだ。もし、クラブがもっとよくできる人がいると考えるなら、すぐに代えなければならない」(ユルゲン・クロップ/ガーディアンより)
「状況がよくないとき、われわれは孤独だ。私も同様にね。フットボールでは起こりえることだ。結果が伴わなければ解任されることはある。彼は私を必要としていないだろうけど、早く戻ってきてほしいと願っている」(ペップ・グアルディオラ/スカイスポーツより)

モウリーニョさんは、事情はどうあれ勝たなければならなかった。チームをモチベートしなければならなかった。勝っていれば、誰を使って誰を外してもよかった。選手たちとの軋轢も、最小限に抑えられたかもしれない。問題が小さければ、クラブは勝っている監督を支持するだけで終われた。しかし、今季のマンチェスター・ユナイテッドではそれらができなかった…。そう思うからこそ、悔しく、せつないのです。

2017年2月26日。モウリーニョ監督と彼らが、プレミアリーグのトロフィーを掲げている姿を見たいと強く思った日。神とポグバが試合後のインタビューではしゃいだ、キャピタルワンカップファイナル。厳格なファーガソンのチームを見続けてきた眼には、明るい彼らがとても眩しく、マンチェスター・ユナイテッドのサポーターであり続けたことを心の底からよかったと思えた忘れえぬ時間でした。あれから、1年10か月。「Mourinho is past」。どうすればよかったのか、正解は誰にも語れません。私にもあなたにも、クロップにもペップにも、そしておそらく彼自身にも。


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プロフィール

HN:
makoto
性別:
男性
職業:
ものづくり
趣味:
サッカー観戦
自己紹介:
プレミアリーグがとりわけ好きなのは間違いありませんが、チャンピオンシップ、セリエA、ブンデスリーガ、リーガエスパニョーラ、チャンピオンズリーグ、ヨーロッパリーグはもちろん、Jリーグ、なでしこリーグ、高校サッカーまで何でも観ます。今季のプレミアリーグで、特に活躍を期待している選手は、ダヴィド・デ・ヘア、マーカス・ラシュフォード、メスト・エジル、モー・サラー、エリクセン、ムヒタリアン、岡崎慎司、吉田麻也です。

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