モウリーニョ監督のチョイスはやはりマティッチ。現地メディアが「今週決まる」と報道!

モナコのヴァディム・ヴァシリエフ副会長が「ファビーニョは残す」と語ったと伝えられ、暗礁に乗り上げたかと思われたマンチェスター・ユナイテッドのセントラルMF補強が、ようやく決着しそうです。「Manchester United close to signing Chelsea midfielder Nemanja Matic」。イギリスメディア「スカイスポーツ」が、チェルシーがネマニャ・マティッチがプレミアリーグのライバルクラブに移籍することを許可したと報道。プレシーズンツアーに帯同せず、コブハムに残ってトレーニングしているセルビア代表MFが、8月8日に行われるUEFAスーパーカップでレアル・マドリードと戦えるように手はずが整うと伝えています。チェルシーでプレイした3年半で、プレミアリーグ121試合4ゴール。2度のリーグ制覇に貢献したマティッチは、チャンピオンズリーグ準優勝のユーヴェよりもモウリーニョ監督とのタッグを選ぶようです。

数日前より、「インディペンドント」「デイリー・メール」もマティッチ決着間近と報じておりましたが、移籍金の額は4000万ポンド(約58億円)で一致しています。明日29歳になる選手をこの値段で売れれば、チェルシーとしては悪くない話ですが、昨季プレミアリーグで7アシストを決めたセントラルMFは古巣を後悔させることができるでしょうか。本ブログのコメント欄では、「ひと頃の運動量がなくなり、衰えが目立った」といった声に対して「フィジカルの強さは相変わらずで、まだまだやれるはず」と評価する意見もありました。私の見立ては、「モウリーニョ監督のサッカーでアンカーに専念するなら機能する」。エンゴロ・カンテとコンビを組んだ昨季は、攻撃面での貢献も期待されて上下動を繰り返しており、与えられた役割自体が難しかった面もあるのではないかと思います。新チームで求められるのは、バイタルエリアのカバーとCBのサポート、ボール奪取後の前線への展開といった明確なミッションでしょう。必要ない場面でラフプレーが目立ったフェライニや、高さがないエレーラを上回る堅実な守備で、ポグバが安心して攻め上がれるようにしていただければと思います。

リンデロフとルカクに加えてマティッチ獲得に成功すれば、残るターゲットはイヴァン・ペリシッチです。シンガポールで29日に行われたインターナショナル・チャンピオンズカップのチェルシー戦で決勝ゴールをゲットしたサイドアタッカーについて、スパレッティ監督は「移籍話は終息した。今から代役を探すのは難しい。彼の移籍には反対する」とコメント。相当な金額を用意しなければ話をつけるのは難しそうですが、マンチェスター・ユナイテッドはプレミアリーグ開幕前に最後の新戦力を獲得することができるでしょうか。仮にペリシッチが獲れなくても、デ・ヘアと現在の攻撃陣を全員残せれば、モウリーニョ監督のチームは2年めのジャンプアップが期待できると思います。カギを握るのは、ムヒタリアン、マルシアル、ラシュフォード。昨季は納得のいくシーズンではなかった3人が、ゴールを量産してくれれば、プレミアリーグ優勝も充分狙えると思われます。

優勝チームの主力メンバーとはいえ、29歳になる中盤の選手に4000万ポンドはなかなかのお値段です。1~2年前なら、もう1000万ポンドぐらい安かったかもしれませんね。いや、ネマニャ・マティッチのような素晴らしい選手が獲れるなら、タグには目をつぶりましょう。トッテナムが最初の選手を獲る前に補強を終えようとしているマンチェスター・ユナイテッドには、UEFAスーパーカップの快勝とプレミアリーグのロケットスタートを期待しています。


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攻撃的なサッカーと若手育成!セインツが新監督にマウリシオ・ペジェグリーノを選んだ理由

フランク・デブールさんがクリスタル・パレスの監督就任間近と書いている間に、彼との交渉が成立しなかったと報じられていたセインツが先に新監督決定を発表しました。公式サイトが特大の写真をUPしたのは、45歳の若き指揮官マウリシオ・ペジェグリーノ。最近のプレミアリーグファンはマヌエル・ペジェグリーニと混同してしまうかもしれませんが、リヴァプールサポーターなら「ベニテス監督の下でコーチだった…」と思い出すのではないでしょうか。2005年に半年間だけレッズでプレイした縁でコーチを務めたペジェグリーノ監督は、インテルのコーチを経て2012年にバレンシアの監督に就任。最初のチャレンジは、不振により半年で解任という苦い結果に終わりました。

その後、エストゥディアンテス、インディペンディエンテと母国アルゼンチンのクラブで指揮を執ったペジェグリーノ監督は、昨季はリーガ・エスパニョーラ昇格直後だったアラベスをTOP10フィニッシュさせました。新監督決定に際したセインツ公式サイトのメッセージを読むと、彼らがなぜピュエル監督を解任し、ザッケローニ、フランク・デブール、ペジェグリーノを候補としていたのかがわかる気がします。

「彼はサウサンプトンウェイをとてもよくわかっており、そのスタイルと遊び心はクラブの哲学、カルチャー、野心と合致しています。クラブの次のステップを手助けする適切な人材。既に選手を知り、素晴らしいスカッドをチューニングすれば成功を続けられると確信しています。マウリシオが信じるのは、高いクオリティとインテンシティを伴うエキサイティングなアタッキングフットボールです。若い選手の能力を開発し、経験を積ませていくことも続けてくれるでしょう」

キーワードは、「サウサンプトンウェイ」「チューニング」。前任のピュエル監督はセーフティに戦うスタイルを嫌われ、だからこそ候補者は攻撃的なサッカーを信奉する指揮官たちだったのだと思われます。この構図は、プレミアリーグ復帰を果たした2012-13シーズンの監督交代劇と酷似しています。昇格の功労者だったナイジェル・アトキンスはリアリストで、プレミアリーグ残留を目標としたために半年で解任され、クラブはチャンピオンズリーグに出られるチームに成長させようと意気投合したマウリシオ・ポチェッティーノ監督に後を託しました。同じポジションに留まることをよしとせず、攻め続けるのが「サウサンプトンウェイ」。彼らは、4年前と同様のジャッジを下したのでしょう。

そして「チューニング」。ここからは私の推測ですが、昨シーズンの開幕直前にインテルの監督となり、3ヵ月持たずにクビを切られたフランク・デブールはチームづくりには時間がかかると主張し、マウリシオ・ペジェグリーノは今の延長線上でいける、若手を育てるとプレゼンしたのではないかとみています。ラ・リーガに昇格1年めだった昨季のアラベスは明らかに戦力不足で、ローン移籍9人を含む総勢17人が新戦力というつぎはぎだらけのスタートでした。これを預かったペジェグリーノ監督は、開幕戦のアトレティコ・マドリードとのアウェイゲームを1-1ドロー、カンプノウに乗り込んだ3節のバルサ戦を1-2勝利という大金星を挙げ、テオ・エルナンデス、ビガライ、ジョレンテ、カマライといった若手をうまく融合させてチームを進化させました。直近に芳しい実績がないザッケローニさんよりも、アラベスを仕切った監督のほうが魅力的でしょう。さすがセインツ、監督に対する見立ては常にコンセプチュアルだなと感心した次第であります。

昨季はプレミアリーグ8位だったチームは、どこまで上位に食い込めるでしょうか。名将の産地であるアルゼンチン仕込みの攻撃的なサッカーに期待するとともに、シムズ、ハリソン・リード、マット・ターゲット、ブファル、ホイビュルク、ジャック・スティーブンス、マックイーンなど若い選手のブレイクも楽しみにしたいと思います。若手プロデュースに長けたポチェッティーノ監督とオーバーラップするニューフェイスの登場で、プレミアリーグがまたひとつおもしろくなりそうです。(マウリシオ・ペジェグリーノ 写真著作者/Victor Guttiérez Navarro)


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プレミアリーグ2016-17シーズン総括~(3)感動!天晴れ!事件!なベストマッチ

サッカーを楽しむ情熱だけは今も若い方たちに負けず、プレミアリーグクラスだと自負しているのですが、こと記憶力に関してはリーグ2レベル。せっかく年間250試合以上を観戦してきたのにディテールがあやふやになっている試合もあり、客観的かつロジカルな尺度で今季のベストマッチを選ぶのは、砂漠に落とした1円玉を探すような難作業なのであります。と、言い訳はこのぐらいにして、明るく始めましょう。プレミアリーグ2016-17総括第3弾、ベストマッチ編です。

今季の試合を開幕からあらためてチェックしつつ、「感動編」「戦術編」「事件編」の3つの部門に分けて、それぞれ5試合を選ばせていただきました。マンチェスター・ユナイテッドサポーターですので、最も感動したのは水曜日の試合なのですが、それはさておき。プレミアリーグで感動の一戦をひとつ選べといわれれば、「今シーズンもおもしろくなるぞ、リヴァプールは強いぞ」とその後の展開に期待させてくれた開幕戦のアーセナルVSリヴァプールです。マネとララナが躍動して、15分で3発を立て続けに決めたレッズの怒涛の攻撃は鮮やかでしたが、チャンバースとホールディングというつぎはぎCBで戦いながら、2点を返して追いつく寸前まで巻き返したガナーズの底力にも感服しました。

戦術が天晴れだったのは、年明けのポチェッティーノ監督です。相手の3-4-3に合わせたミラーリング戦術で対抗しながら、「アスピリクエタの高さ」というコンテチェルシーのささやかな弱点を、エリクセンのクロスとデル・アリのヘッドで突いた2発のアプローチは見事。エレーラをアザールにマンマークさせ、枠内シュートを1本も打たせず完勝したチェルシー戦のモウリーニョ監督も素晴らしかったのですが、攻守ともに意志が感じられたスパーズを上としたいと思います。チャンピオンズリーグを年内で終えてしまったスパーズは、この頃はまだ4位で優勝争いにはカウントされていなかったのですが、首位を戦術でねじ伏せた勝利でにわかにスポットライトが当たるようになりました。

事件といえば、あまりにショッキングだったのはあの試合です。ペドロにいきなりビンタを喰らって、後半はボコボコにされた9節のチェルシーVSマンチェスター・ユナイテッド。上位に圧勝したこの一戦が、コンテ監督と選手たちに3-4-3の成功を確信させたのではないかと思います。ちなみに、PFA(選手協会)、FWA(記者協会)、EAスポーツ(プレミアリーグ公式)とMVP三冠を獲得(プロレスみたいですね…)したエンゴロ・カンテは、シーズンを通じて2ゴールしか決めていないのですが、いずれもマンチェスター・ユナイテッド戦です。FAカップ準々決勝では、ドリブルで中央を崩してあっさりデ・ヘアを破る激痛の決勝ゴールを喰らっており、「こんなことができるのに、なぜよそではやらない!?」とTVモニターに向かって悪態をついたのを思い出しました。…すみません。話を戻しましょう。以下、3部門でチョイスした15試合をご覧ください。

■感動のゲーム!編
プレミアリーグ1節/アーセナル 3-4 リヴァプール
プレミアリーグ12節/トッテナム 3-2 ウェストハム
プレミアリーグ17節/エヴァートン 0-1 リヴァプール
プレミアリーグ26節/レスター 3-1 リヴァプール
ヨーロッパリーグ決勝/マンチェスター・ユナイテッド 2-0 アヤックス

アグレッシブなシーズン幕開けと、アヤックスに何もさせなかったモウリーニョサッカーの結実が、私の2大感動ゲーム。さらに挙げさせていただいたのは、劇的な幕切れの2試合と、王者復活の一戦です。デル・アリとソン・フンミンが後半から登場したウェストハム戦のトッテナムは、89分からソン・フンミン&ハリー・ケインのコンビで2発叩き込んで大逆転。グディソンパークのマージ―サイドダービーは、95分にスタリッジのシュートがポストに当たってマネがプッシュするというマンガのようなフィナーレでした。レスターがレッズを破った試合は、ラニエリ監督解任直後で、奇跡のプレミアリーグ優勝を果たしたメンバーが久しぶりに10人揃った快勝劇。ヴァーディの2発で自分たちのサッカーを再確認し、自信を取り戻したシェイクスピア軍団は、この2週間後にセヴィージャを倒すという快挙を成し遂げ、CLベスト8という素晴らしい記録をクラブ史に刻みました。

■戦術に拍手!編
プレミアリーグ4節/マンチェスター・ユナイテッド 1-2 マンチェスター・シティ
プレミアリーグ14節/マンチェスター・シティ 1-3 チェルシー
プレミアリーグ20節/トッテナム 2-0 チェルシー
プレミアリーグ26節/マンチェスター・ユナイテッド 2-0 チェルシー
プレミアリーグ32節/クリスタル・パレス 3-0 アーセナル

厳しいハイプレスとスピーディなパスワークで子ども扱いされた前半、プレミアリーグにとてつもなく強いチームが現われたと震え上がったマンチェスターダービー。ペップとコンテが激突した14節も、マンチェスター・シティが後半途中まで完全にゲームを支配していたのですが、カウンターにやられてホームで敗戦。アグエロとフェルナンジーニョをレッドカードで失ったマン・シティは、次のレスター戦にも敗れて首位に引き離されました。

コンテ監督が、後に重要な戦術のひとつとなるセスクのロングフィードをチームに取り込めると確信したこの試合は、今季最大のターニングポイントだったと思います。57分にクロスバーを叩いたデブライネのボレーが決まっていれば、快進撃を始めてリーグを制覇したのはペップだったかもしれません。「ベンテケにロングボールを当ててサイドに展開する」というビッグサムの「弱者の戦術」が見事にはまり、アーセナルに圧勝したクリスタル・パレスも天晴れでした。この試合とノースロンドンダービーでの完敗が、ヴェンゲル監督に3バックを決断させたトリガーだったのではないでしょうか。

■事件なゲーム!編
プレミアリーグ6節/アーセナル 3-0 チェルシー
プレミアリーグ9節/チェルシー 4-0 マンチェスター・ユナイテッド
プレミアリーグ21節/エヴァートン 4-0 マンチェスター・シティ
プレミアリーグ22節/アーセナル 2-1 バーンリー
プレミアリーグ35節/トッテナム 2-0 アーセナル

アレクシス・サンチェス、ウォルコット、エジルのゴールで快勝したチェルシー戦が、ゼロトップを採用したアーセナルの今季のベストバウト。この試合の事件は、3-0で敗色濃厚となった65分から、コンテ監督が「優勝フォーメーション」の3-4-3を試したことです。マンチェスター・ユナイテッドを完膚なきまでに叩いたチェルシーは、アウェイのマン・シティ戦を逆転勝利で制し、クラブレコードとなる13連勝を達成して首位を快走しました。エヴァートンVSマン・シティは、18歳のトム・デイヴィスと19歳のルックマンというヤングスターが百戦錬磨のブラボから自信を奪ったのが事件です。ペップのチームがこんな負け方をするのかとショックを受けた一戦でした。

アーセナルVSバーンリーは、ヴェンゲル監督のチームがチャンピオンズリーグ出場権を失うきかっけとなった試合でした。ジャカのレッドカード、PKを不服としたヴェンゲル監督の退席処分。98分にアレクシス・サンチェスが決めたPKでかろうじて勝ち点3をキープしたものの、指揮官不在の次戦でワトフォードにホーム敗戦。さらにチェルシー戦の完敗、バイエルン戦の惨敗と、アーセナルは坂を転げ落ちるように勝てない季節に突入してしまいました。4月末のノースロンドンダービーは、21年ぶりに「セント・トッテリンガム・デー(ガナーズがスパーズより上位と確定する日)」がないと決まるのが直接対決とは!というメモリアルゲームです。右サイドを崩したエリクセンとデル・アリによって、スパーズはついに厚かった壁を破りました。

以上、2016-17シーズンのベストマッチ15戦でした。こうして振り返ると、数々の感動的なシーンが蘇ってきます。今季も、おもしろいですね!過去形にしなかったのは、今夜、もうひとつベストマッチが増えるかもしれないからです。FAカップ決勝のアーセナルVSチェルシーに、ここに挙げた試合に負けない感動的な展開を期待しています。


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プレミアリーグ2016-17シーズン総括~(2)名将揃いの監督ランキング

ヴェンゲル、クロップ、ポチェッティーノにコンテ、ペップ、モウリーニョ。このなかからチャンピオンズリーグに出場できなくなる監督が2人も出る(実際はELのおかげで1人でしたが)椅子取りゲームは、欧州屈指の厳しさです。プレミアリーグ2016-17は、名将が削り合う激戦のシーズンとなりました。プレミアリーグ経験ならヴェンゲル監督、欧州での実績はペップ&モウリーニョ。前シーズンからの継続性は、主力を放出しなかったポチェッティーノ監督が1歩リードか。クロップ監督のゲーゲンプレッシングが、日程がタイトなプレミアリーグでフルシーズン続けられるかも見どころでした。優勝候補はマンチェスター勢でしたが、蓋を開けてみると、チェルシーとトッテナムの完成度が抜きん出ていました。出遅れたマンチェスター・ユナイテッド、守備が落ち着かなかったマンチェスター・シティ、選手層が薄かったリヴァプール、スランプに陥ったアーセナルは早々に優勝争いからリタイア。思いのほか、上2つとセカンドグループに大差がついたシーズンとなりました。

プレミアリーグ2016-17シーズン総括、ベストイレブンに続く第2回は「監督ランキング」。素晴らしい采配を見せてくれた指揮官を7人ピックアップして、ランキング形式でリスペクトしようというのが趣旨です。採点については、厳密にデータを重ねたものではなく、それぞれの監督の特徴をわかりやすく表現するための指標と受け取っていただければ幸いです。1位と2位は、順位表からそのまま抜き出してきました。3-4-3のアントニオ・コンテと変幻自在のポチェッティーノ。両者に共通するのは、CBの前をセントラルMFがしっかりカバーする安定感のある守備と、直線的で手数をかけないアタックでした。

コンテ監督のフォーメーションは、まさに適材適所。WBにヴィクター・モーゼスとマルコス・アロンソを抜擢し、ダヴィド・ルイスをCBの真ん中に入れたのが秀逸でした。3バックと4バックを巧みに操り、アルデルヴァイレルトやエリック・ダイアーのロングフィードからの速いサイドアタックと、敵陣で奪取して一気にボックスに殺到するショートカウンターが必殺でした。3位に選ばせていただいたのは、守備を立て直しつつ数多くの若手を育てたエヴァートンのクーマン監督。1月に瀕死のスワンズを預かり、9勝2分8敗と見事に蘇生させたポール・クレメント監督が4番めです。TOP6との直接対決を無敗で切り抜けたクロップ監督のチームは、ベストメンバーが揃えばプレミアリーグNo.1候補。返す返すも1月~2月の停滞が悔やまれます。


■プレミアリーグ2016-17シーズン 監督ランキング■
1位 アントニオ・コンテ(チェルシー)
2位 マウリシオ・ポチェッティーノ(トッテナム)
3位 ロナルド・クーマン(エヴァートン)
4位 ポール・クレメント(スウォンジー)
5位 ユルゲン・クロップ(リヴァプール)
6位 エディ・ハウ(ボーンマス)
7位 トニー・ピューリス(WBA)


6位のエディ・ハウ監督は、EUの選手がノーゴールという今どき珍しいチームを、よくぞ9位に引き上げました。WBAをTOP10で終わらせたピューリス監督は、普通の選手を集めて簡単に負けないチームを創らせたら天下一品。プレミアリーグ残留が決まってからの1勝2分9敗というグダグダフィニッシュがなければ、もっと上に入れたい指揮官でした。以下に、それぞれの監督について「戦略」「戦術・采配」「モチベート」「育成・登用」「やりくり力」という5つの観点で、各5点満点で星をつけさせていただきました。短評とともにお楽しみいただければと思います。


1位 アントニオ・コンテ(チェルシー)
戦略   ★★★★★
戦術・采配★★★★★
モチベート★★★★★
育成・登用★★★★
やりくり力★★★★

適材適所の3-4-3もさることながら、当初はサブだったセスクを12月から布陣に組み込み、夕食会などを開いて選手やスタッフをモチベートしたマネジメントも見事。中国からのオファーで揺れたジエゴ・コスタを「試合から外しながらも引き留めた」ことも、チームが混乱することなく優勝に突き進めた要因だと思われます。中に斬り込んでくるとわかっているアザールやペドロが止められなかったのは、タイミングもコースも的確なパスが出てくるから。前線の3人のコンビネーションは、相当入念に練習しているはずです。素晴らしい!

2位 マウリシオ・ポチェッティーノ(トッテナム)
戦略   ★★★★★
戦術・采配★★★★★
モチベート★★★★
育成・登用★★★★★
やりくり力★★★★

フィンセント・ヤンセン、シソコ、エンクドゥなどワニャマ以外の新戦力がフィットしないという誤算や、ラメラとダニー・ローズの長期離脱がありながらも強かったスパーズ。ハリー・ウィンクスの成長を促し、運動量が多いデンベレをワニャマとうまく組ませて、ソン・フンミンを蘇らせた指揮官の采配が大きかったと思います。スパーズの3バックがチェルシーと違うのは、両脇のフェルトンゲンとエリック・ダイアーが中盤に参加し、攻撃の厚みを築けること。ポチェッティーノ監督の引き出しの多さが、どんな相手でも戦えるチームになった最大の理由でしょう。

3位 ロナルド・クーマン(エヴァートン)
戦略   ★★★★
戦術・采配★★★★
モチベート★★★★
育成・登用★★★★★
やりくり力★★★★★

グイェとギャレス・バリーに中盤の掃除を徹底させてアシュリー・ウィリアムズとジャギエルカの負担を軽減し、課題だった不安定な守備を改善したクーマン監督。トム・デイヴィス、カルヴァ―ト=ルーウィン、ルックマン、ホルゲート、ペニントンら若手にチャンスを与え、勝利と育成を両立させながら来季以降の礎を築いたのも高評価です。

4位 ポール・クレメント(スウォンジー)
戦略   ★★★
戦術・采配★★★★★
モチベート★★★★
育成・登用★★★★★
やりくり力★★★★

スワンズ復活の最大のポイントは、最終ラインをモーソン、オルトン、ノートン、フェデリコ・フェルナンデスに固定し、守れるチームに仕立て上げたこと。レオン・ブリットンを中盤に定着させてキ・ソンヨンを戻した最終盤は、4勝1分で失点はわずか2とブラッドリー監督の頃とは別なチームでした。

5位 ユルゲン・クロップ(リヴァプール)
戦略   ★★★★★
戦術・采配★★★★
モチベート★★★★★
育成・登用★★★★
やりくり力★★★

できるだけ前でボールを奪い、素早く前線につないでゴールを奪う「走るサッカー」は、プレミアリーグ屈指の破壊力。課題となったのは、引いた相手に対してオプションが乏しかったことと、カウンターとセットピースにしばしばやられた守備の脆さでした。ダニー・イングスが長期離脱となり、スタリッジは空回り。さらにヘンダーソン、コウチーニョ、マネらが負傷やコンディション不良で輝かなくなった年明けに調子を崩し、選手層の薄さを露呈。3月からは8勝3分1敗と巻き返しただけに、タイトなスケジュールを乗り切れなかったのが悔やまれました。

6位 エディ・ハウ(ボーンマス)
戦略   ★★★★
戦術・采配★★★★
モチベート★★★★
育成・登用★★★
やりくり力★★★★★

ボーンマスにはおもしろいデータがあります。後半戦で、ジャック・ウィルシャーが先発した試合はすべて2失点以上で3分7敗と勝利なし。それ以外は3失点以上がなく5勝4分と無敗です。3月から5勝5分2敗と調子を上げ、クラブ史上最高のプレミアリーグ9位にジャンプアップできたのは、アーターとライアン・フレイザーを中心とした中盤にスタニスラスが復帰し、攻守のバランスを向上させることができたからでしょう。この間、エースのジョシュア・キングは12戦10ゴールの荒稼ぎで勝利に貢献しています。チームの戦力は上位に食い込めるレベルではなく、エディ・ハウ監督のコンセプチュアルなパスサッカーが浸透したからこそ、実りあるシーズンになったのだと思います。

7位 トニー・ピューリス(WBA)
戦略   ★★★
戦術・采配★★★★★
モチベート★★★★★
育成・登用★★★
やりくり力★★★★

あっぱれ、トニー・ピューリス。最終ラインをニョム、マコーリー、ドーソン、ジョニー・エヴァンスで固め、フレッチャーに中盤の舵取りを任せたチームは、26節まで11勝7分8敗と予想外の大健闘。決して守備をさぼらず、レッズに続けとばかりによく走るWBAは、サイドアタックと直線的な速攻の徹底度が高く、セットピースからの得点力はリーグNo.1でした。3月から勝てなくなったたのは、今季最大の掘り出し物マット・フィリップスが戦線離脱し、モリソンが調子を落としてしまったことと無縁ではないでしょう。アーセナルに勝って満足したかのように、最後の9試合は2分7敗でわずか4ゴール。来季もプレミアリーグに残留するためには、層が薄かった後方とオプションがなかった最前線に体を張れる選手を足したほうがよさそうです。


以上、監督ランキングでした。次回、プレミアリーグ2016-17シーズン総括第3弾は「心に残るベストマッチ」編をお送りいたします。


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自己紹介:
プレミアリーグがとりわけ好きなのは間違いありませんが、セリエA、ブンデスリーガ、リーガエスパニョーラはもちろん、Jリーグ、なでしこリーグ、高校サッカーまで、サッカーなら何でも観ます。今年、特に活躍を期待している選手はウェイン・ルーニー、ダヴィド・デ・ヘア、大前元紀、香川真司、吉田麻也、本田圭祐、楢本光、岩渕真奈、田中陽子です。

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