2016-17シーズン現地観戦記(5)エミレーツの混迷と「ヴェンゲルOUT」の意味~VSバイエルン

今日は、本ブログ特派員による「プレミアリーグ現地観戦レポート」の番外編をお届けします。舞台はエミレーツですが、プレミアリーグのマンチェスター・シティ戦の前に、チャンピオンズリーグのバイエルン・ミュンヘン戦です。多くのグーナーのなかで忌々しい記憶となっているであろうこの試合を、このタイミングでお届けしたほうがいいのか迷いました。なかには、思い出したくないとおっしゃるサポーターの方もいるのではないかという懸念が、その最大の理由です。しかし、後で振り返ってみれば、この試合もまた貴重な歴史の1ページなのかもしれません。「現地の肌ざわり」「スタジアム内外(外には日本も含む)の空気のギャップ」のようなものや、「プレミアリーグとブンデスリーガのカルチャーの違い」をお伝えするのも意義のあることではないかと考え、掲載する次第であります。さっそくまいりましょう。どうぞ!


最初に言っておきたいのは、この試合、前半は本当に「行ける!」と思ったということです。とくに私のいたメインスタンド側から見ると、目の前にいるアーセナルの右サイド、ウォルコットとベジェリンが非常に緊張感高く、「約束ごとをきちっと守る」というふうな律儀な動きを見せていたと感じました。そこにチェンバレンを加えた3名は、何というか、大一番に気合いが入っているというよりは、極めて淡々と、しかし極めて高いレベルで、いい仕事をしていたと思います。チェンバレンは多少波があるけれど、大抵の場合はこういう境地を保って見えるベジェリンと、今年に入って急にこの雰囲気をまとい始めたウォルコットに、ファンとしては、ジルーの明るさやコクランの男気みたいなものとはまた違った愛着を感じずにはいられません。……と自分で言っておいてナンですが、なぜここでサンチェスやエジルの名前が出てこなかったんだ?それについては今後、ゆっくり考えていくことにしましょう。

さてこの試合、スタジアムに着いて感じたのは、ファーストレグの大敗を受けた空席の多さ(「どうせダメだし」と思うとすぐにスタジアムに来なくなるのが当地のサポーターです)とか、直前のリヴァプール戦の敗戦で盛り上がる「ヴェンゲルOUT」のデモだとか、そういう具体的なあれこれというよりは、何というか空気の緩みのようなものでした。窮地に追い込まれたとき、厳しく突き放す態度もあるだろうし、そういうときこそ強い気持ちでサポートする態度もあると思うし、個人個人ではそうした態度を明らかにしている人ももちろんいるのですが、客席全体としてはどちらの態度も取りかねている、というような……。

ホーム側がそんなムードの中、アウェイ席ではバイエルンサポーターが、コールリーダーの指揮のもと、一糸乱れぬドイツ式の応援で盛り上がっています。ちなみに試合中には、昨年のEURO(欧州選手権)で大流行した、頭上で手を叩くアイスランド式の応援も披露。こうしたスタイルは、誰かが自由に歌い始め、気分が乗った人が思い思いに追随するというイングランド式の応援とは全く異なるもので、そんなカルチャーの違いを感じられるのは、ヨーロッパを舞台とする大会ならではといえるでしょう。

さらにアウェイ席では、エミレーツスタジアムのチケット価格に抗議するお約束のプロテストも行われていました。"WITHOUT FANS FOOTBALL IS NO WORTH A PENNY"(客がいなけりゃサッカーなんて無価値)、"LONDON:64£ MUNICH:59E+1E THE GREED KNOWS NO LIMITS"(ロンドンは64£、ミュンヘンじゃ59+1ユーロ、強欲ってのは限界を知らないね ※実際は、E=ユーロ記号、最後のSはドル記号)といったバナーが意気揚々と掲げられていたのですが、それを揶揄する余裕もないホーム側とのちぐはぐ感がなおさら、会場に微妙な空気を生んでいたようにも思います。

それでも試合が始まると、アーセナルサポータも一応強気で声を出し始めます。逆に言えば、こういう試合にわざわざ足を運ぶのは、「何がどうでもArsenal till I die!」な人たちや、(私も含め)「いやまだベスト8あるで!」という希望を捨てていないサポーターなわけですからね。目の前のゴールでレヴァンドフスキがシュートを外すとすかさず"How mach?"と声をかけるなど、私の周りのお兄さん方もエンジンがかかってきました。あまりにもオールスターなバイエルンのスカッドに笑っちゃうしかなかった私も、遠いサイドに見えるロッベンの怖さはともかく、こちらサイドのリベリーについてはそれほどでもないな…、などと思い始めた頃、いきなり訪れたウォルコットの得点シーン。「いける!」と思ったのは私だけではなかったはずです。

しかしそれも前半まで。後半コシェルニにレッドカードが出たところで事実上の終戦だったのでしょう。実際には、ピッチを去るコシェルニにはスタジアムから大きな拍手が贈られ、そのことでサポーターが自らを奮い立たせるような雰囲気もなくはなかったのですが、2点目、3点目と重なるうちに、ピッチ上と同様に客席の雰囲気はみるみる弛緩していきました。立ちっぱなしで野次を飛ばしていた私の周りのお兄さんのうちの一人も、3点目が入ったあたりで突然スイッチが切れたように「帰る」と言っていなくなってしまい、客席には"WENGER OUT"のカードを掲げる者が現れ、"We love you Arsenal"のチャントが起こるもどこか力なく、そんな中、客席からピッチに駆け込んだ青年に対して浴びせられたのも、ブーイングとも喝采とも判別できない……試合終了で客席はまた混迷の中に迷い込んでしまったようでした。

個人的には、このときがサポーターにとっても混乱の「底」だったのではないかと思います。実は、スタジアムで「ヴェンゲルOUT」を声高に叫んでいる多くは少年や若者。「騒いで目立ちたいだけ」という風情の人も多いという印象がありました。しかし、それを真っ当なオトナが冷たく黙殺するとか、あるいは反論するとか、そういう雰囲気でもない。それがバイエルン戦のスタジアムの微妙な空気を作っていたように思うのですが、この状況を説明する一つのヒントとなりそうな話をご紹介しようと思います。

3月下旬になって、サポーター組織、"Arsenal Supporters’Trust(AST)"が、1000人弱のメンバーを対象に調査を行いました。ASTといえば、過去にはアーセナルの株式を共同購入するなどクラブへのコミットが高く、古参のサポーターも多い組織。まさに「真っ当なオトナ」サポーターの集団です。調査結果によると「ヴェンゲルが契約更新するのを支持するか」という問いに対して、回答者のうち78%が"NO"と回答。ただし、424件のフリーコメントを見ると、その多くが、「ヴェンゲルをリスペクトするべきだ」というようなことをいっているのだそうです。(詳細はこちら(英語)で見ることができます)

「ヴェンゲルOUT」のデモを行っているような集団が、現地サポ―ターの間でも急進的過ぎるのはおそらく事実です。しかし、そんな集団の態度には与しないが、「ヴェンゲル続投がよいとは決して思わない」サポーターも多いのです。どん底(に見えた)のバイエルン戦から、サポーターが自分の気持ちに整理をつけていったとき、どんな空気が生まれるのか。それをこの後、現地で見届けることができないのは残念ですが、遠い日本から、シーズン終了までしっかり見守っていきたいと思います。


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プレミアリーグ2016-17現地観戦記 (3)純粋ということ~FAカップ準々決勝・アーセナルVSリンカーン

グーナーのみなさま、お待たせいたしました。本日は、イギリスに滞在している本ブログ特派員より、来季監督問題が何かと騒がしくなっているアーセナルについてのレポートが届きました。プレミアリーグ、チャンピオンズリーグ、FAカップと今後、数回にわたって現地レポートを掲載させていただきますが、今回は感動のFAカップ準々決勝レポートでございます。さっそく、どうぞ!


3月の初めに渡英して、プレミアリーグのリヴァプールVSアーセナルから観戦している特派員ですが、ここまでの試合はともかくとして、まずはアーセナルVSリンカーンの試合の現地レポートをお届けいたします。この日、アーセナル以上に楽しみだったのは、リンカーンサポーターのみなさんの様子です。FAカップでは、いわゆるノンリーグ、つまりはアマチュアクラブが何かの拍子に勝ち上がり、プレミアリーグのビッグクラブと当たることがあるのがおもしろいところ。こういうクラブがたとえばアーセナルとやることになると、ホームであれば「おらが町にアーセナルがやってくる!」と盛り上がり、アウェイであれば「おらがチームがエミレーツスタジアムで試合をする!」と盛り上がる、どっちにしても一大イベントになるわけです。

アーセナルは5回戦でもカンファレンス・ナショナル(5部相当)のアマチュアクラブ、サットン・ユナイテッドと対戦しましたが、珍しくクジ運に恵まれて6回戦の対戦相手も5部のリンカーン、通称「インプス(IMPS)」。しかし、対戦当時、5部で17位だったサットンと異なり、リンカーンシティは5部では首位のチーム。今のアーセナルに油断は禁物……と思いつつ、「さすがに負けることはないだろう」と、私自身も若干お祭り気分でスタジアムに向かいました。

キックオフ1時間半ほど前にスタジアムに到着すると、いますいます!すでに到着して気炎を上げているリンカーンサポーターたちです!しかし、殺気立っているというよりはほのぼのお祭りムード。アーセナル伝説の監督、ハーバート・チャップマン氏の銅像前で記念撮影をする人もいて、和気あいあいとした雰囲気は、プレミアリーグのアウェイサポとは空気感がまるで違います。

同じTシャツを着ている人が何人かいるのでよくよく見てみると……"IMPS ON TOUR"とあって、これはリンカーンの今シーズンここまでのFAカップの戦績を並べたもののようですね。なになに?初戦はGUISELEYというクラブ相手に0-0で引き分け再試合だったんですね。その後もイプスウィッチ相手に再試合を1回演じ、その後2部でトップのブライトン、プレミアリーグのバーンリーを破り、計8試合をこなしてエミレーツスタジアムにたどり着いたようです。ほのぼのしているなあ!と思ったものの、"GIANT KILLER bring on the Arsenal"の文字には、気弱なアーセナルサポーター(私のことだ)をビビらせる効果もそれなりにあったのでした。

ほのぼのムードの一因は、ちびっこサポーターが多いことにもあったかもしれません。コンコースでは、スタジアムレポーターがリンカーンサポーターの子供たちにインタビューをしていました。「スコア予想は?」と聞かれて堂々と「2-0!」と答えたのは小学生と思しき少年。レポーターが思わず、「アーセナル相手に!?」と聞き返していましたが、リンカーンサポーターとしては将来有望と言わざるを得ません。

別の場所では、手作りのトロフィーを持っていた少年に「写真を撮らせて」と声をかけると、入場の列に並んでいた弟君も近づいてきて、いい感じでポーズを撮ってくれました。アウェイサポーター相手にこういう雰囲気が味わえるのは、カップ戦、しかも対戦する両者の関係が遠い試合ならではかもしれません。(といっても、翌日にホワイト・ハート・レーンで行われたスパーズVSミルウォールの試合は、それはそれは恐ろしい雰囲気だったようですが!)

試合開始約45分前、場内に入ると、ちょうどリンカーンの選手たちが一足早くアップに現れたところでした。アウェイスタンドはまだそれほど埋まってはいませんでしたが、それでも選手たちが出てくると怒涛のような大歓声!客席では、アーセナルのマスコット、ガナザウルスと一緒に、リンカーンのマスコット"Poacher The Imp"も愛想を振りまいています。

アップしている選手に目を向けてみると、うーん!何というか、これくらいカテゴリーが違うチームだと、物理的に選手の「形」(もう少し丁寧に言うとシェイプ具合)が違うんですね。前回対戦したサットン・ユナイテッドのウェイン・ショー選手ほどではありませんが、かなり大柄な感じの選手もいます。

前回同様「あーキーパーの人かなー?」なんて思ってたら、ユニフォームに着替えてびっくり!なんと9番をつけたストライカー、RHEAD選手だったんですね。さすがにスピードはありませんでしたが競り合いに負けないジャンプ力の持ち主で、試合中は結構悩まされることになるのですが、このときはそんなことは知る由もありませんでした。

試合前から、アーセナルの選手がピッチに現れれば大ブーイング!リンカーンサポーターの子供のインタビューがビジョンに映し出されると大歓声!と、いちいち全力投球のアウェイ席でしたが、試合が始まっても立ちっぱなしの歌いっぱなし。よくまあこれだけ歌があるなと思うくらい(まあその多くは定番曲ではあるのですが)、次から次へと歌い続けます。

25分頃、5部相手にここまで無得点のアーセナルにサポーターが若干の落ち着かなさを感じ始めたころには"Shall we sing a song for you?"、アーセナルがやっとのことで1点先制したときには、なぜか大拍手と"We are the IMPS"の大合唱。中でも傑作だったのは、何かのはずみに歌い出した"We are top of the league! We are top of the league!"というチャント。確かに!あなた方のリーグではトップだもんね。恐れ入りました!(笑)

試合の方は、前半、ファンをやきもきさせたアーセナルが、後半に入ってようやく実力差を感じさせる大量得点に成功して完勝。印象的だったのは、ケガ人が出るなどしてプレイが止まるたびに、リンカーンの選手たちが監督の周りに集まり、バレーボールのタイムアウトのように指示を受けていたことです。後で友人に聞いたところによると、リンカーンはこの90分に「10分のミニゲームを9本」という意識で臨んでいた、と報道されていたとのこと。なるほど10分ごとに(ではないかもしれないが、それくらい頻繁に)監督の周りに集まっては何やら確認していたのもそれを聞けばうなずけます。

これもまた、ノンリーグのクラブがトップクラブに対抗するための戦い方……熱い熱いサポーターにもリスペクトの気持ちでいっぱいですが、監督もなかなかのものではありませんか。試合後、いつもは対戦相手の監督とグラスを交わさないことで有名なヴェンゲル監督が、ここの監督であるコウリー兄弟のために90分も時間を割いたと報道されましたが、なんとなくわかる気がします。

試合が終わって、選手たちがアウェイスタンドを訪れると、大歓声でその健闘をたたえるリンカーンサポ―ター。アウェイ席に近いバックスタンドのアーセナルサポーターも、そんなアウェイスタンドに向かって拍手を贈ります。さらに、選手がロッカールームに引き上げ、アーセナルサポーターがほぼスタジアムから消えた頃、それでもほとんどが席に残っていたアウェイサポーターのところへ、監督がひとり、挨拶に来ました。

それを待っていたかのように、満員のアウェイスタンドからは万雷の拍手が響きます。大冒険を終えたリンカーンの、愛と感謝に満ちたグランドフィナーレ……監督の去就やチーム内不和の噂に揺れるアーセナルのサポーターにとって、それは心底胸を打たれるシーンでした。

試合後、日本から来ていた友人グーナーたちとパブで語り合い、帰途に就く頃には、満月だったこの日の月もすでに高く昇っていました。「僕らが二度と純粋を手に入れられなくても」。スガシカオの「黄金の月」の一節がふと頭をよぎり、あらためて、今日目の当たりにしたリンカーンの純粋さと、アーセナルの置かれた現状を静かに思うのでした。われわれの冒険もまた、続くのです。


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プレミアリーグ2016-17現地観戦記~(2)クリスマスシーズンの平日夜、EFLカップに行ってみた

昨日の第1弾のご好評につき(みなさまコメントありがとうございます。本日まで忙しく、お返事が遅れており申し訳ございません)、グーナーの特派員が送るプレミアリーグ現地観戦記。第2弾は、グーナーのみなさんなら華麗に忘れたいEFLカップのサウサンプトン戦のレポートですが、できるだけ試合結果には触らず、パブやパイ、お買い物など食べログ的ゆるめレポートとしてお送りさせていただきます。「現地でプレミアリーグの試合を観戦したい!」「エミレーツでアーセナルを応援したい!」「生ヴェンゲルを観たい!(私は、以前に日本にいらした頃、名古屋駅でお見かけしました。めっちゃ背が高いです)」という方は、ぜひご一読ください。では、どうぞ。


今回の渡英は11月の末。この時期のロンドンは、朝起きたときから夕方のような日差し(というかそもそも日差しがない日も多い)でどうにもガッカリさせられるのですが、そのかわりに夜が美しいのです。繁華街に出れば、通りはイルミネーションで彩られ、広場にクリスマスマーケットが出たりして、歩いているだけでも浮き立った気分になります。

 帰国前最後の観戦試合は、そんな季節のナイトゲーム、EFLカップのアーセナル対サウサンプトン。平日夜開催とはいえ、アーセナルサポ御用達パブ“Tollington”(ちなみにポケストップにもなってます)はいつものように試合前から鈴なりの人。スタジアム前の鉄道高架下では、サンタ帽をかぶって募金活動をしている人もいます。飲食などのホスピタリティ付きで観戦できるクラブレベルフロアにはツリーも飾られて、そんな高価な席にご縁のない私も、その温かそうな様子をマッチ売りの少女のように見上げては幸せのおすそ分けをいただくのでした。

ところで、カップ戦の試合というのは平日の夜開催が基本。これはチャンピオンズリーグもFAカップも同じです。そしてこの平日夜開催の試合というのは総じてチケットが取りやすい傾向にあります。数日前のパリ・サンジェルマン戦も、それなりのビッグマッチにもかかわらず、直前になって大量にエクスチェンジ(当日行けないシーズンチケットホルダーがチケットを売り出すシステム)によるチケットが出ていて、願ってもない良席で観戦することができました。

さらにこの日の試合はリーグカップ(今年の名称はEFLカップ)という、チャンピオンズリーグやFAカップと比べると格の落ちるカップ戦。平日夜開催という皆が足を運びにくい条件に加え、出場選手も若手メインになりがちなこともあり、値段もぐっとお手頃です。今回は友人にロウワー(1階席)のチケットを取ってもらいましたが、プレミアリーグのビッグマッチなら60~70ポンドする席が10ポンドと聞いて驚きました。普段はあまり人のいない“COLLECTIONS OFFICE”(チケット引取りカウンター)にも長い列ができているところを見ると、「紙チケットで発券する=メンバーカードを持っていない」人も多いのでしょうか?この日も完売ではありましたが、普段はメンバーで売り切れてしまうのが当たり前のアーセナルで、そういう人にまでチケットが回るとするとかなり余裕があるということになります。

とはいえ、対戦相手はプレミアリーグ勢のサウサンプトン。スターティングメンバーも、フォンテが吉田麻也選手になっている以外は結構真剣に揃えてきて、値段も安くて手に入りやすい割には好カードとなりました。しかしアーセナル側は、エジルもサンチェスもウォルコットもいない、完全なカップ戦仕様。「EFLカップは若手育成の場」ときっちり線引きしているところにはファンとして好感が持てるものの、勝ちきれるのかという意味では緊張感も高く……悪い予感が当たってしまったのは、みなさんすでにご存じのとおりです。

この日は、例のシャペコエンセの墜落事故(11月28日)後、初めての公式戦でもありました。フットボール好きとして、またひとつのクラブのファンとして、私も心を痛めていたひとりです。それが最も胸に響いたのがこの日の試合の冒頭、入場してくるスターティングメンバーのうち、ガブリエウがひとりメッセージバナーを持って現れたときでした。後で彼自身が語った言葉によれば、若い頃に所属したヴィトーリアでカイオ・ジュニオール監督に指導を受けていて、今回亡くなった選手の中には友人もいたとのこと。そこまでの事実を知らなくても、この日、バナーを手に決然とした表情で現れたブラジル人、ガブリエウの姿には、彼を愛するすべてのサポーターが心を打たれたことでしょう。他の国、他のチームであっても、必ずどこかで愛するチーム、選手とつながっていて、決して他人事ではないのを身をもって感じました。

そんな我らがガブちゃんですが、この日のポジションは直前のボーンマス戦とは違って本職のCB。よく集中していたとは思いますが、やはり、ドンと構えてフォローしてくれるコシールニーやモンレアル抜きでは厳しかったか。この日の最終ラインに入ったホールディングは、ファンの間では「チェンバースよりは」と評価する人も多い期待の若手ですが、もうひとりの先発、ジェンキンソンはそろそろ若手とも言い難い年齢にさしかかっているところ。本人が熱狂的なグーナーであることからファンにも非常に人気があるのですが、ここらで本当に頑張ってもらいたいところです。さらには「前半枠内シュートゼロ」という攻撃の弱さも最近のアーセナルあるある。一方のセインツは、吉田麻也選手が大張り切りだったこともあり、「本気度が違ったな」という印象でした。

そんな中、試合が終わるまで一人気を吐いていたのが、後半途中で入ったチェンバレンです。私の目の前のコーナーで彼がCKを蹴っていたのですが、終盤、CKになるたびに猛ダッシュで駆けつけ、果敢に走り続けていました。フレッシュな自分が何とかするんだという強い意識とともに、前半で2点差をつけられ「まあこんなもんかな」というムードに陥っている(ように見えた)チームへのいら立ちを感じさせた彼。フルタイムの笛が鳴ると、つけていた手袋を外して地面に叩きつけるように投げ捨てた姿には、気迫と頼もしさを感じました。テレビで見ていると、ときにボールを追う真剣さが足りないともいわれがちなチェンバレンですが、きっと大丈夫。これからまた、素晴らしいプレイをたくさん見せてくれることでしょう。

最後に、この日のエミレーツスタジアムでのお買い物ネタを二つ。実は今回、友人から「最近スタジアムのパイが美味しくなっている」という話を聞き、ぜひとも売店のパイを買おうと狙っていたのです。試合前に買いそびれてしまったので、ハーフタイム、前半終了の笛を待たず、早めに売店の列に並んだのですが、混んでいたとはいえ、カウンターにたどり着いたのは後半も15分を過ぎた頃。しかも「ホットフードは売り切れた」というではありませんか!隣にいたお姉さんは「私はハーフタイム前から30分も並んでいた。なぜこうなる?」と猛抗議していましたが、気持ちわかる……せめて売り切れた時点で表示くらいはできないものでしょうか。というわけでみなさんには、エミレーツで温かい食べ物を買う場合は、ハーフタイムではなく試合前に買うことを強くお勧めいたします。

もう一つのお買い物ネタは試合後のオフィシャルショップのこと。スタジアム正面(駅でいうとホロウェイロード側)のオフィシャルショップ“The Armoury”は、通常18時までの営業ですがマッチデーはその限りではありません。正確な閉店時間は確認していませんが、おそらくは試合後、それほど急がずに出てきても問題なく買い物ができる模様。試合に負け、パイも買えず、しょんぼり出てきた私ですが、クリスマスムードあふれる“The Armoury”の店内で(ガナザウルスの生首ディスプレイはちょっと怖いけど)、スタッフのお兄さんお姉さんに優しくしてもらいながら、事前に目をつけておいたマグカップを手に入れて、ちょっとだけ明るい気持ちで帰途についたのでした。


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プレミアリーグ2016-17現地観戦記~(1)レアキャラ・ドビュッシーとアフォベとお説教おじさんと。

筋金入りのグーナーである本ブログの特派員が、11月末に現地でアーセナルの試合を観戦してきました。エミレーツの午後の雰囲気をお伝えするプレミアリーグ現地レポートを書いてもらいましたので、さっそくお楽しみください。

今回の渡英ではチャンピオンズリーグのパリ・サンジェルマン戦、プレミアリーグのボーンマス戦、U23のレスター戦、EFLカップのサウサンプトン戦(すべてホーム)と、8泊10日に目いっぱいの観戦予定を詰め込んできた特派員。乗り継ぎの飛行機が遅れて40分遅刻したパリ・サンジェルマン戦は割愛し、試合結果もいい感じだったプレミアリーグ13節、ボーンマス戦の現地の雰囲気をお伝えします。

4つある試合のうち、プレミアリーグのボーンマス戦は唯一の日中開催。やはり日中の試合は1日まるごと「マッチデー」の雰囲気があり、何度行っても楽しいものです。露店の非公式グッズをお土産に頼まれていたこともあり、ちょっと早めに出かけて「新作」がないか物色。あら?“Jack Daniel's”のラベルを“Jack Wilshere”に書き換えたTシャツがありますよ。同じ並びには“GUINNES”のラベルが“GOONERS”になったのも。今回見つけた中で一番ハイセンスなのはこの2点で決まりでしょう!

さて、買い物を終え、スタジアムにも早めに入場。コンコースにあるTVモニターでは、ちょうど同じタイミングで開催中のF1最終戦、アブダビGPの決勝レースが放映されています。一応は優勝の可能性を残した英国人ドライバー、ルイス・ハミルトンの様子はみなさんそれなりに気になるようで……私もF1は好きなんですけど、せっかく早めに来たからにはウォームアップの様子を見なくてはとスタンドに急ぎました。

 席はブロックで区切られていて、今までは何となく、入れるのは自分の席のあるブロックだけだと思っていたのですが、試合前だからなのかどうなのか、エミレーツでは持っているチケットによらずいろいろなブロックに入れるようです(「クラブレベル」という値段の高い席は別)。というわけで、ウォームアップ中の選手を一番近くで観られる場所に陣取ってメンバーチェック。すると、アップ中の選手の中に見慣れないブラウンヘアのイケメンが。最初は「ラムジー、髪の色戻した?」と思ったものの、どうもラムジーではないようで、コーチングスタッフかしらね?などと考えていたら、こちら側に近づいてきた彼のパンツには「2」の文字が……ドビュッシー?ドビュッシーがいるよ!!!と、同行の友人ともとも俄然テンションアップです。この試合の直前のU23の試合に出場し、スパーズ相手にキッチリ得点していたと聞いたのは後になってからのこと。長く不在だった選手を自分の目で発見するのは嬉しいものなんです。

ちなみにボーンマスには現在、ジャック・ウィルシャーがローンで在籍中ですが、ローン選手によくある決めごとで、ローン元のアーセナル戦への出場はありません。しかし、アーセナルのユースから移籍したベニク・アフォベはベンチ入り。試合前の場内メンバー発表では、名前の前に“Welcome back!”とコールされ、客席からも拍手が起こっていました。試合が始まり、彼がアップを始めた際にも、客席から「ベニーク!」と声をかける人がいて、本人も手を振って応えるなど温かい雰囲気。そうそう、アーセナルサポは出て行った選手全員に厳しいわけじゃないんです。残念ながらトップチームに残れなかったけれど、ユースで見守ってきた選手が他のチームで頑張る姿を応援してあげたいのは、きっとどのチームのサポにも共通した気持ちでしょう。

さて試合が始まって、問題のドビュッシーもスタメン出場。序盤戦からよく上がり、よく戻りといい動きで、「ああベジェリンもいいけどドビュッシーは安心感があるなあ」とほれぼれしていたのですが、なんと15分ばかりでピッチに座り込んでしまいました。やたら彼に注目していたせいで真っ先にその様子を発見してしまいショックもひとしお。せっかく出場できたのに、本人もつらいことでしょう。つらいといえばサポも同じで、ジェンキンソンもベンチ入りしていない中、ガブリエウがコールされたときにはスタンドの動揺はちょっと笑っちゃうくらい。「あ、ガ、ガブちゃん右SBできるのね」と不安な気持ちがついつい出てしまったのは本人には申し訳なかったですが、その後ベジェリンが復帰するまで右SBで頑張ってくれたことには感謝、感謝です。

今回、前半はロウワー席(1階)で観たのですが、後半は友人と席をチェンジして、ホーム側ゴール裏、「ノースバンク」のアッパー席(3階くらいの位置)へ。今までもアッパーで観戦したことはあったのですが、今回、改めてアッパー席のおもしろさを感じました。選手の躍動感を間近で感じられるロウワー席は臨場感は抜群ですが、やはりフォーメーションがよくわかるのはアッパー席。現地ではこちらの方が値段が高いのもうなずけます。これまで、ボーンマスの監督エディ・ハウが、ヴェンゲルの後任としてよく名前を挙げられることに全く納得できていなかったのですが、この日のボーンマスの細かくパスをつなぐサッカーはなかなか魅力的。その様子も、アッパー席からはよく把握することができました。

さらに何ともいえず素敵だったのが隣の初老のご夫婦。奥様のほうは、私が奥の席に入るときに“Hello”と陽気に声をかけてくれ、旦那様のほうは試合の間中何かしらピッチに向かって毒づいている様子がなんともラブリーでした。傑作だったのは、後半15分ごろ、サンチェスとウォルコットが2人でカウンターを仕掛けたときのこと。「ああ人数が足りてないなあ」なんて思いながら見ていたら、プレーが止まった瞬間その旦那様がピッチを指さしながら数え上げるように、“1-2-3-4-5-6, Not running!!!”と怒鳴り声でお説教。意訳すると、「オマエもオマエもオマエもオマエもオマエもオマエも走らんかい!!!」といったところでしょうか?周りのみんなも同じことを考えていたようで思わず失笑です。ご夫婦はシーズンチケットホルダーのようですが、今回の席の魅力は間違いなくこのおふたりによるところも大きかったという印象。こういう常連さんがいつも同じ場所にいて、客席の雰囲気を作っているのも、プレミアリーグの魅力の一つだと再認識しました。

そんなこんなもありながら、結果は3-1と快勝で客席の雰囲気も最高。意気揚々と引き上る観客に向かって、「ハイベリー・イズリントン駅は閉鎖されました」というアナウンスが響き、「またかよー」とばかり軽くブーイングが起こったのももはやラブリーな、素敵な1日となったのでした。


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プロフィール

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ものづくり
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サッカー観戦
自己紹介:
プレミアリーグがとりわけ好きなのは間違いありませんが、セリエA、ブンデスリーガ、リーガエスパニョーラはもちろん、Jリーグ、なでしこリーグ、高校サッカーまで、サッカーなら何でも観ます。今年、特に活躍を期待している選手はウェイン・ルーニー、ダヴィド・デ・ヘア、大前元紀、香川真司、吉田麻也、本田圭祐、楢本光、岩渕真奈、田中陽子です。

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