【LIVE観戦 Everton×Chelsea】 決められるときに決めないと、ときどきこうなる。

リヴァプールといえば、港町、ビートルズ、大聖堂。2008年欧州文化首都にも指定されており、ウォーターフロントエリアは世界遺産でもあります。そんなイメージから活気あふれる街を想像し、いざ、足を運べば、多少なりとも期待を裏切られることとなるでしょう。人口は約44万人。これは日本でいえば、長崎、町田、富山と同規模。街はのんびりした空気が漂っており、繁華街はさほど大きくなく、とにかく静か。夜、食事をしようと思えば、基本はパブか中華街、イタリアンも数軒。パブに入れば、広い店内の隅で近所の老夫婦がゆっくり食事をしていたりします。閉鎖・移転前のこの店でビートルズが演奏したとして有名な「キャバーン・クラブ」などがあるマシュー・ストリートにリヴァプールらしさを期待してのぞいてみれば、これも思いのほかこじんまり。評判に違わないのは、マージ―サイドに肩を並べる2大クラブの地元サポーターの熱さぐらいではないでしょうか。

12月30日、グディソンパーク。今季好調のエヴァートンが世界第2位のクラブを迎え撃つ、2012年最後のゲーム。スタジアムはライムストリート駅近くのクイーンスクウェアからバスで約20分。公園と古い住宅地に囲まれた、静かなエリアにあります。ここから20分も歩けば、リヴァプールの本拠地、アンフィールドに着いてしまいます。これだけ近いとどうやってサポーターは棲み分けられているのか、どんなきっかけでそれぞれのファンになるのか、興味深いものがあります。ちなみにリヴァプールとエヴァートンは、ホームゲームを同日開催することのないよう、スケジュールが組まれています。そりゃそうでしょうね、そんなことしたら街は大混乱必至です。



さて、話は戻ってグディソンパークですが、オールドトラフォードに負けず劣らず、エヴァートンのサポーターは意気軒昂です。試合開始わずか2分、ジャギエルカのクロスをアニチェベがヘッドでポストにあて、跳ね返りをピーナールが決めた瞬間、地鳴りのような大歓声。ホームチームはサポーターの声援に後押しされ、前半15分までは固いディフェンスをベースに、効果的なカウンターでチェルシーをあわてさせていました。特に右サイドのナイスミスとジャギエルカのコンビがよく、前半はアザールをほぼ完全に抑え込んでいました。

「たられば」ですが、先制点の後、エヴァートンが優勢だった時間帯にもう1点取っていれば、チェルシーの巻き返しは難しかったでしょう。とりわけ惜しかったのが、イェラビッチがポストに当てたフリーキック。これが決まらず、さらにツェフの好セーブなどでいくつかのピンチをしのいだことで、チェルシーが落ち着きを取り戻します。ファン・マタが効果的なドリブルで中央を切り裂き、エヴァートンの守備陣を混乱させ、ラミレスやランパードに対するマークがずれるようになると、ホームチームは自軍に有利な態勢でボールカットできなくなり、チェルシーが一方的に攻め続けるようになります。せめて前半を耐えきれれば、ハーフタイムで落ち着けたはずですが、42分、マタのチャンスメイクからラミレスがクロスを上げ、ランパードのヘッドで同点。1-1で後半を迎えることになります。

後半開始から、足を痛めたGKツェフに代わりターンブルを入れたチェルシーに対し、エヴァートンは勝ち越しを狙って攻勢に転じます。いい形でシュートを打つところまではなかなかいけなかったものの、再三、コーナーキックを獲得して波状攻撃を展開。イェラビッチがマークを引き連れながら体をひねって放ったヘッドがバーに当たり、またもやゴールポストに嫌われたエヴァートンは、後半27分に前がかりになった隙を突かれ、マタのシュートのこぼれ球をランパードに決められてしまいました。これで勝負あり。選手交代で状況を変えることができず、チェルシーは安全運転できっちりリードを守り、試合終了。エヴァートンは、ホームで悔いの残る逆転負けを喫してしまいました。

グディソンパークは、古きよきスタジアム、といった趣き。メインスタンドの中央に屋根を支える大きな柱があり、これにかかると若干見にくくなることを除けば、気持ちのいいスタジアムでした。
毎年11月~2月に、お約束のように調子を崩すチェルシーですが、ベニテス暫定監督のもと、ようやくしぶとさが戻ってきたようです。ダヴィド・ルイスをセンターミッドフィールダーに入れる戦術が功を奏し、前線へのパスの出所が増え、攻撃のバリエーションが増えました。何しろマタが絶好調。アストン・ヴィラを8-0で粉砕した攻撃陣にデンバ・バが加わり、機能し始めると脅威です。このチームも、アブラモビッチが来た頃から比べると、ずいぶん選手獲得が上手になりましたね。監督をすぐクビにしたがるのは相変わらずですが。

試合後、ロンドンに戻り、1日にはサウサンプトンのセント・メアリーズでアーセナル戦です。元日に普通にトップリーグの公式戦やってるのは、この国ぐらいではないでしょうか。素晴らしい。


(左)コーナーキックから波状攻撃。(右)いよいよ試合開始。右に見える柱がややジャマ。

奥に見えている大きなスクリーンの左側にチェルシーサポーターが集結。試合中、立ちっぱなしで応援。
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